新春特別インタビュー 水 野 学さん(good design company)
今や世界へ羽ばたく日本のゆるキャラ「くまモン」を生んだクリエイティブディレクターとして大きな注目を集める水野学さん。企業ブランドを周知向上させる戦略からCDジャケット、美術展のポスターまで、そのデザインには見た人を心地良く惹きつけるものがある。テーマや課題を的確にデザインに落とし込むその感覚について、幼少期から過ごした茅ヶ崎の風土によるものが大きいという。
デザインのこと
「僕の仕事はデザインを通して、様々な物事を良くしていくことだと思っています。デザインとは最低限無くてはならない機能的なものと、それに加える装飾的なもの両方が掛け合わさったもの。どちらが欠けてもデザインとは呼べないというのが僕の考えです」
水野さんは自身のスタイルについて「企業のためだけを考えるのであれば売れるだけで良いんですが、僕はそうは思いません。売れることは当然で、みんなが必要に思って喜んで貰えるデザインというものを考え続けています」と話す。
人生の転機と仕事のこと、
産まれてすぐ茅ヶ崎市南湖へ移住。3歳から多摩美術大学時代まで市内香川で過ごした。「夏休みのクラゲが出る時期まで毎日海で泳いでいました」と振り返る活発な少年の最初の転機となったのが小学5年生の時の交通事故。長い入院と自宅療養の中で、以前から好きだった絵を描くことに集中していった。「鶴が台中学校の美術の先生から美術の面白さを教わって、デザイナーを目指して美大へ進みました。今の仕事を知ったのは大学時代ですね」。卒業後はデザイン事務所に入社し2年で独立、good design companyを立ち上げた。「事故、美大、独立、あとは妻との出会いも人生のターニングポイント」。毎朝「すっごいやんちゃな」と笑う5歳の息子とのふれあいを欠かさないなど、家族を愛する父親の顔を覗かせる。「僕はあらゆる職業の方々と接するので、子どもと遊んでいてもそれがON/OFFではなく、仕事に繫がっています。全部がプライベートで全部が仕事。自然とそうなりましたが、遊ぶように仕事をしていて、とにかく楽しすぎる。そんな感じですね」
茅ヶ崎のこと
市役所庁舎や浜見平地区、市営プールなど、気にかけていることは地元を知る茅ヶ崎人ならでは。「茅ヶ崎は海という財産を大切にして欲しいです。例えばデンマークには芝生が海岸まで来ている大きな公園があります。茅ヶ崎は上質な街なので、札幌にあるモエレ沼公園のような緑地化した都市公園なんて素晴らしいと思いますよ」
水野さんが産み出すデザインに共通するのは、シンプルな中にも意志や意図を感じる仕掛けのようなもの。「僕はデザインをする時に、『広い所にポツンと何かを置いてみる』癖があります。もしかするとそれは、茅ヶ崎の海と空と烏帽子岩が原体験として影響しているのかもしれません(笑)。茅ヶ崎で過ごしたことで他の所だったら得られない感覚が得られました。この街は日本の宝だと思います」
『デザインとはよくすること』という水野さんの哲学には、茅ヶ崎での経験が少なからず内包されている。
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