二宮町中里地区の八坂神社の神輿修繕実行委員会委員長を務めた 簑島 喜好さん 二宮町在住 67歳
地域へ恩返しの責任感
○…「予想以上に素晴らしく甦りました。みなさんご覧になった人も喜んでいたのではないでしょうか」。二宮町中里にある八坂神社の神輿に約90年振りとなる大がかりな修繕を施した。一昨年4月、中里地区の住民たちで修繕準備委員会を発足。一年後から修繕委員会に移行し、その中心となって修繕計画の作成や資金集めなどに奮闘した。先月26日、重厚な輝きを取り戻した神輿のお披露目巡幸が無事に終わり、ホッと安堵の表情をみせる。
○…老朽化が激しかった神輿は、台輪や屋根、堂柱、桝組などをすべて解体して手入れが行われた。漆塗り、飾り細工、金メッキなどそれぞれの専門業者へ部品が渡り、修繕完了まで約10カ月かかった。「途中で何かあって、神輿が元に戻らなかったらどうしようかとハラハラしていた」と作業期間中の胸の内を吐露する。人間は馬鹿正直なくらいでいい。人から後ろ指を指されるような真似だけはするまいと歩んできた生真面目さと責任感がのぞく。
○…神奈中バスの運転士として乗客の安全輸送を第一にハンドルを握った。無事故無違反で表彰されたことも。職場では磯釣りサークルを作り、休日となれば仲間を率いて南伊豆や神津島、敷島などへ出掛けた。「南伊豆は崖が海に切り立ち、海と山しか見えない景色がいい」と、自然の中で日頃の緊張を解きほぐし、仕事への精気を養った。
○…日課になっている犬の散歩で57キロのスリムな体を維持する。実は昨年のこと。散歩途中に胸の苦しさを感じて検査、手術を受けたという。「危機一髪のところを救われました」。神輿のお披露目が済んで休む間もなく、7月23日と24日の例祭に向けた準備に忙しい。「修繕した神輿を担ぎに今年は大勢の人が集まるでしょうね」と期待を寄せる。中里地区長を務め、今後しばらくも地域の役目で動き回る日々が続きそうだ。「生まれ育った土地への恩返しです」と微笑んだ。
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