二宮ラディアンで個展を開催する 續橋(つづきばし) 守さん 二宮町在住 68歳
思いを重ね合わせて描く
○…アトリエに入ると目に飛び込んでくるのが、閉鎖されている足尾銅山の廃坑や同じく閉鎖され使われなくなった工場などの建物を描いた油絵。モチーフにするのは閉鎖された工場や廃墟となった建物だ。「閉鎖された炭鉱や工場は歴史の証言者として圧倒的な姿で存在している。建造物の魅力だけではなくかつての人々の生活や思いを重ね合わせて表現したい」と、やさしい眼差しで作品を見つめる。作品をじっくり見つめると、かつての労働者の動きや息遣い、機械の動き、音、機械油の匂い・・そんな光景が頭の中に蘇る。絵が語りかけてくるようだ。「技術の進歩とともに役目を終え朽ち果てていくものが多くある。建物は時代そのもの。たくさんの物語があったはず」と目を閉じる。工場跡地などの作品のほかに、二宮町内の風景も描かれた作品約40点の油絵が展示される古典が12月13日(火)〜18日(日)まで二宮のラディアンで開かれる。「私の思いが一人でも多くの方に伝われば」と話す。
○…北海道に生まれる。中学まで歌志内という炭鉱の町で過ごした。「当時は石炭の最盛期で黒い顔をした労働者が賑やかに行き来していた」と話す。画家を志すきっかけとなったのが小学3年の時。先生から絵を描く課題を出され、描いたのが炭鉱で働く人や家族の姿。提出した作品を見た先生は「良く描けてるね」と褒めてくれたという。「先生の言葉は一生忘れることはないでしょう。私の原点です」と振り返る。中学卒業後、兄を頼って上京。大学検定試験に合格、東京芸術大学で美術を学んだ。美術の教員、講師を務めながら作品づくりに力を注いできた。
○…現在、所属する横浜美術協会の会長でもある。会長として協会のまとめ役をこなしながらも自身の作品作りにも専念する。「これからも私のスタンスは変わらないと思う。これが私。描き続けていきます」と優しい表情を見せた。
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