中里祭囃子保存会の会長 行谷 知久さん 二宮町中里在住 68歳
会長だけど「まだ若造」
○…江戸時代文化・文政の頃からおよそ200年続くという伝統の大山囃子を今に伝える同保存会。会長という肩書だが「先代の会長たちや80歳を超えた先輩方も、元気に会員として一緒に練習している。俺なんかまだまだ若造さ」と豪快に笑う。
○…かつては地域の青年会が中心となってお囃子を伝えていたが、後継者不足などで担い手が減り、「地域の伝統や文化を風化させてはいけない」と有志が立ち上がり1970年に会を発足させた。その昔、お囃子の太鼓や笛は、家の長男しか参加できなかったという。「俺も子どもの頃は見るだけで、道具に触らせてもくれなかったよ」と当時を振り返る。自身が初めて参加できたのは、30代後半になってから。以前から練習していた子どもたちにまじっての練習では「『おじさん間違ってる』なんてしょっちゅう指摘されたもんだよ」と苦笑する。
○…地域の風土を色濃く残すお囃子だけに、これまでに多くの場所で技を披露してきた。「お店の開店やお正月でお祝いとしてお囃子をする習慣があったんだよ。二宮の西友さんでもお正月にやったね」と話すが、活躍の場は県西から都内まで幅広い。現在も町内5カ所でお囃子の指導をしているという。
○…小鉢、大鉢、笛、鉦に踊り手で構成されるお囃子で、自身は小鉢を務める。毎週月曜と水曜の練習は、中里の明星神社で行う。時間になると仲間たちがふらりと集まり、音をあわせて修練に励む。心地よい演奏を生むために肝心なのは、ぴったりと合った呼吸だ。演奏のズレを確認しながら、練習は徐々に熱を帯びる。いつも全員で話し合い、何かを決めるときはみんなで決める。仲間同士の結束は固い。毎年7月に行われる恒例の夏祭りを前に、6月からは子どもたちの練習が始まる。「元気な子どもたちはもちろん、30代の人たちもぜひ参加してほしいね」と目を細める。
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