5周年を迎えた二宮町のNPO法人「湘南いこいの里」の理事長を務める 佐藤 強さん 小田原市在住 76歳
人の生きる姿 見つめ続けて
○…「本当に何もないところから始めてここまで続けられたのは、ボランティアの皆さんをはじめ多くの人のご協力があったから」。5周年を迎え、胸には感謝の思いがこみ上げる。心に病気や障害を持つ人の社会参加を支援する就労継続支援事業所「オアシス」をはじめ、現在は二宮町と大磯町で3つの施設を運営する。5周年の記念事業は、オアシスで毎月恒例となっている歌声喫茶をスケールアップした「500人の歌声喫茶」を6月に行う予定だ。「地域の皆さんに活動を知っていただくきっかけになれば」と微笑む。
○…理事長を務める前は、44年間牧師として人々の悩みに向き合ってきた。病院付きの牧師「チャプレン」として働いた10年間は、心に傷を持った人や死を迎えようとしている人たちと対話を重ね、魂を安らぎに導いた。日本各地の教会にも赴任し、結婚や葬儀、礼拝など、多くの人の人生の節目に立ち会う日々。「今の仕事とも、無関係ではないのかな」と振り返る。
○…有志が集い法人を設立した当初は理事らが持ち出しで施設を切り盛りしていたが、現在ではオアシスの喫茶室で飲物や軽食を販売し、手作業やポスティングの仕事も受ける。自立のための中間施設として尽力するが「企業での障害者雇用義務などもありますが、継続しての勤務となるとなかなか難しいのが現状」と表情を引き締める。「支援している私たちも徐々に高齢者が増えてきている。施設の必要性をもっと周知し、企業にも障害を持つ人のことを理解してもらえたら」と理想を語る。
○…息子2人は成人し独立。今は夫婦で暮らす。富士山を眺める旅行が共通の楽しみで、お気に入りは山中湖。「あそこは温泉もとても良くてね」と満面の笑み。看護師の夫人もデイケアに勤務しており、毎日充実しているという。「私も負けてられないよ」。優しい眼差しの奥に、秘めた情熱が見えた。
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