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大磯・二宮・中井 人物風土記

公開日:2014.05.30

NPO法人ソーシャルファーム大磯の理事長を務める
添田 正直さん
大磯町在住 62歳

山あり谷ありでも日々充実

 ○…収穫されたばかりのミニトマトが、次々に袋詰めされていく。「うちでは完熟状態になってから収穫しているから、お客さんにも味をほめてもらえる」。はちきれんばかりに膨らんだ真っ赤な果肉を頬張ると、みずみずしさと濃厚な味が口いっぱいに広がる。同法人が大磯町で運営する福祉作業所「はちみつ大磯」では、知的・精神の障害を持つ人約30人が熱心に作業を続ける。日本郵便からの補助を受け、新たにレタスの栽培にも着手。「ルッコラやイチジクのジャム、はちみつなど、一年中仕事が途切れない」と笑う。

 ○…様々な福祉作業所があるなか、農作業で利益をあげている作業所は少ないという。「売上をあげることを『お金儲け』というイメージを持つ人も多いですが、売り上げがあるから利用者さんへもきっちりお給料を出せる」と身を乗り出す。「ただ施設でぶらぶらしているだけではだめ。しっかり仕事をして、お金をもらうことで、社会とつながっていける」とうなずく。

 ○…作物は栽培から収穫まで一貫して行うが、福祉作業所ならではの工夫も。「1つの仕事を3つか4つに分けて、利用者さんの適正に合わせて振り分ける。できたら必ずほめてあげる。仕事をこなして経験をつんで、初めて本人が自信を持てるんです」と力強く語る。

 ○…生まれは大磯。「もともとはサラリーマンだった」が、水耕栽培の独自システムを開発して脱サラ。特許もとったこの装置は、国内各地はもとよりアメリカでも活躍した。自身の会社と福祉事業所で二足のわらじを履いていた頃もあったが、今は会社を清算し福祉事務所一本。「山あり谷あり、きつい時もありました。生き物相手だから毎日仕事でお正月も休めない。でも今の仕事は天職」とキッパリ。「サラリーマンの時は日曜の夜『明日から仕事か』と思ってつらかったけど、今はそんな感覚は無いからね」。満面の笑みから、日々の充実が伝わる。

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