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大磯・二宮・中井 人物風土記

公開日:2014.10.03

大磯町が特産化を目指す「マコモタケ」を生産する
西方 安雄さん
大磯町在住 61歳

町のため農業のため挑戦

 ○…湧水豊富な大磯町西小磯の谷戸でスクスクと育ち、40cm程に実った輝く収穫物を手に「いいかもしれない、土地にあっているのかも」と顔をほころばせる。町が特産化を目指し今年から本格栽培を進めた「マコモタケ」生産の協力農家に手を挙げた。「自分も初めて食べたけれど、新食感だね。きんぴらも天ぷらもいけた。クセがないし、どんな料理法でもいい」と早口で嬉しそうに話す。

 ○…「想像もつかない野菜だったけれど」町職員の度重なる説得に心を動かされ、「町のため農業のためになるなら」と生産を決意。町が集めた資料とインターネットの情報をもとに手探りで栽培を始めた。育ててみると手がかからず、基本的に無農薬で成長した。雑草も手作りの除草用熊手で掻くだけで済んだ。「休耕田はたくさんあるから、協力農家が数軒加われば心強い。売れるようになればきっと仲間も増える」と、今は収穫と同時に町と販路づくりに奔走する。

 ○…大学院では「それしか頭になかったくらい」と言うほど数学に熱中。卒業後は都立高校の教員になり、35年間兼業農家として大磯から通勤した。家を継いだのは長男として当たり前と思っており、「幼い頃から”英才教育”受けていたから、だいたいの野菜の育て方がわかってしまう」とニヤリ。新しい知識も常に取り入れ、近隣の農家からは肥料や水の量、収穫時期を聞かれるなど頼りにされている。

 ○…チャレンジ精神旺盛で「これは」と思うと突き詰める。柔道は3段で町体育協会スポーツ少年団指導員を務めた腕前、テニスは仲間とクラブを作り平塚市の大会に出場している。教員時代には自らコンピュータをプログラミングして成績処理ソフトを作成。退職1年前には、老後に家で役立ちそうだと電気工事士の資格を取得した。「でもね、今はやっぱりマコモタケに夢中。儲けより挑戦が楽しい」と目を輝かせた。

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