第6回大磯町観光フォトコンテストで最優秀賞を受賞した 多田 勝顕さん 大磯町大磯在住 91歳
感動を一枚に収める
○…雪景色に彩られた鴫立庵を捉えた作品でフォトコンテストの最優秀賞に選ばれた。「まぐれですよ」と照れくさそうに微笑むが、鴫立庵の周辺は子どもの頃にかくれんぼをして遊び、写真を撮るようになってからは季節の移ろいや屋根のふき替えなど、ことあるごとにカメラに収めてきた思い入れの深い場所だ。
○…大磯に住んでいた写真家・濱谷浩に教わった「心が動いた時にシャッターを切りなさい」という言葉が常に頭にあった。昨年1月、雪の舞う夕暮れ時に鴫立庵の前を通りかかった際、その美しさに「心が動いた」。しばらく玄関に飾っていたが、隣人に勧められて締切ぎりぎりで応募。「まさか入賞するとは」と驚いた。「息子からデジカメをプレゼントしてもらったから、これが最後のフィルム作品」と微笑む。
○…東京都港区で育ち、小学4年から母の実家のある大磯へ。写真好きだった父が急病で亡くなってからは、母が女手一つで3人の子どもを育て上げた。終戦後に教職に就き、平塚市内の5つの小学校で定年まで勤めた。この頃から学校のカメラで子どもたちの写真を撮るようになり、中古で自分のカメラを買ってからはさらにのめり込んで、独学で腕を磨いた。職業柄、子どもを写した作品が多かったが、近年は自然やお祭りなどを撮る。今一番撮りたいのは「改元の日の富士山」。
○…毎年9月に富山県の「おわら風の盆」を撮り続けて30年近くになる。定年の3年前に亡くなった妻が見たがっていたお祭りだ。「この年で恥ずかしいけれど毎回、妻の写真をもっていく。足も弱ったが、体が持てば今年も行きます」。また「夕方に行きつけの居酒屋で、仲間と一杯やりながら語り合うのが楽しみの一つ」とにっこり。昭和一桁生まれは、今も現役だ。
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