師範の魂 剣に込め

　○…二宮町体育協会二宮剣道部で30年以上師範を務める。現在は週に４回ほど、４歳から70代までの幅広い世代への指導にあたる。今年９月に行われたかながわシニアスポーツフェスタの剣道大会では、70歳以上の部で個人優勝した。「自分も頑張ればできるんだと自信につながり、安心した」と試合を振り返る。

　○…山形県出身。小学４年生の頃、兄の姿を見て剣道を始めた。「小学校と中学校の校舎が行き来できて、兄が部活で剣道をしている様子を休み時間によく見に行っていた」とほほ笑み、はじめは遊び感覚だったという。中学の部活から本格的に練習を始め、競技にのめりこんだ。「稽古も試合も相手に勝たなければ楽しくない。続けていくことで強くなる」。高校、大学も剣道一筋で竹刀を握り続けた。就職を機に競技から一時離れたが、33歳で結婚と同時に二宮に移り住み、二宮道場の門を叩き再開。10年以上のブランクがあったが、体さばきは染みついていた。

　○…子どもが剣道を習い始めたのと同時に、二宮剣道部での指導を始めた。「大学まで続けた実力を生かして、子どもたちを試合で勝たせてあげたい」。そんな思いで師範になった。剣道に取り組むうえで、心がけていることを聞くと「前に出る」と一言。「まず気持ちで負けてはいけない。強く出れば、結果もついてくるから」。剣道教士７段。現在、神奈川県剣道連盟の中郡支部の会長も務める。

　○…11月に開催されるねんりんピックかながわの剣道大会に向けて稽古を重ね、神奈川県のチームのメンバーとして、団体戦に臨む。「自分が出ることによって、中郡の存在を覚えてもらえたら。記録だけでなく、記憶にも残る試合になって欲しい」