小田原市と、二宮尊徳の縁でつながる福島県相馬市。東日本大震災から2年が経過した被災地の現状と、復興へむけての展望を取材した。
特産グルメで復興PR
ゴールデンウィーク真っ最中の5月4日。相馬市沿岸部の松川浦地区は、大勢の観光客で賑わっていた。多くは、同地区の旅館や土産物店など12店舗が掲載された「松川浦 復興チャレンジグルメ」のマップを手に、昼食を楽しむ人たちだ。
この企画は各店の代表者で作る「相馬市松川浦観光振興グループ」によるもの。異なる5店舗での食事で、無料食事券が当たるスタンプラリー形式となっており、参加店舗は旬の海産物を盛り込んだメニューを考案、提供している。
連休に合わせ4月27日から始まったこの取組みは、津波被害による景観の変化や、原発問題による操業停止で客足の減った松川浦に活気を取り戻そうという試みの一環。企画に携わる管野芳正さんは「松川浦は元気でやっているよ、というメッセージの発信になれば」と話す。
自宅修復し戻る住民も
スタンプラリーにも参加する「ホテルみなとや」は相馬港の目の前。2階まで達した津波による建物の損壊を、約1千万円かけて修復、この5月から一般客の宿泊受付を再開した。
若女将の管野忍さんは「いろいろな部分で震災が風化することは仕方がない。(被災地に生きる)私たちは、目的を見つけて次のステップに進んでいかなければいけない。(状況の変化を)待っていては、不安に押しつぶされそうになる。(再開で)相馬を訪れる人が増えれば」と胸中を語る。
松川浦の裏手、震災前には264世帯が軒を連ねた原釜地区には、現在23世帯が暮らす。舘岡悦子さんは、修復を終えた自宅に戻った住民の一人。津波の影響で自宅は半壊したが、市からは津波危険区域外の指定を受け、居住可能と判断された。自身の家を含め集落は3軒のみ。「(街灯などの整備が進まず)治安に不安は残るが、声をかけあって暮らしていこうと話し合っている」と前を向く。