保護観察中の少年少女に兄や姉のような立場で接し、レクリエーションなどを通じて社会復帰を支援する青年ボランティア団体「BBS会」。市区町村単位で結成される全国組織で、小田原地区では大学生を中心に8人が活動しているが、会員減少による休会の危機とも隣り合わせだ。
昨年12月に開催された神奈川県更生保護大会で、顕著な活動が認められて横浜保護観察所長感謝状が贈呈された渡辺江梨子さん(24)。大学時代に小田原地区BBS会に入会し、現在は会長として精力的に活動を続けている。
「この人、また犯罪をしないかな」。高校時代、ある殺人事件の被告が服役を終えて刑務所を出所するニュースを耳にし、不安を感じた。「調べてみると出所者の再犯率が高かった。どうしたら犯罪を減らせるのだろう」。その時に抱いた興味がきっかけで、大学3年生の時、更生保護を目的としたBBS会の存在を知り入会を決めた。
保護観察所の依頼を受けて行う活動内容は、少年らの「ともだち」として遊び相手になったり勉強を教えたりするほか、県内他地区のBBS会と合同でスポーツやバーベキューを企画することもある。
小田原少年院や報徳更生寮へバレンタインのチョコレートを贈るのも恒例行事のひとつ。「これまで人の温かさにふれることがなかった」。少年からの御礼の手紙にあった内容が今も心に残る。「複雑な家庭に育ったことで心を閉ざし、他人との関わりが苦手な少年も多い。発達障害で周囲と馴染めず、非行に走るケースも珍しくない。でも、接してみると本心では人との交流を求めている。ケアしてくれる人がいれば、違った結果だったかもしれない」。そんな思いが活動の原動力となっている。
課題は会員増強
横浜保護観察所によると、全国で1万2千人の会員がいた1970年頃をピークに、現在は4700人にまで減少。県内でも同様の傾向で、会員不足により21地区中13地区で活動休止中だという。
BBSは大学のサークルを母体に結成された地区も多く、平塚や茅ケ崎では活動が盛ん。小田原でも8人中6人は関東学院大学の学生だ。だが、来春にはキャンパスが移転するため、その後の会員増強が大きな課題となっている。
「同年代だからこそ心を開き、話せることがある。BBSは少年らと保護司の『中継ぎ役』。更生保護活動にその存在は欠かせない」と話すのは、小田原地区の初代会長で、現在も保護司を務める志村宗男さん(74)。会員不足の現状に、「やりがいのある活動。その意義を理解し、多くの若者に参加してほしい」と訴えていた。
※BBS…Big Brothers and Sisters Movementの略