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活かされた3・11の教訓

文化

公開:2016年6月4日

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日比谷正人福祉健康部長(左)に募金を手渡す白山中の生徒たち
日比谷正人福祉健康部長(左)に募金を手渡す白山中の生徒たち

 4月14日と16日に震度7の揺れを記録した熊本地震。市内の中学校では4月末から募金活動が続いている。彼らの支援活動には、5年前の東日本大震災の教訓がしっかりと生かされていた。 

 2度目の震度7が発生した直後の月曜日(18日)。白山中学校(西村泰和校長)の3年2組では「九州の地震について、私たちにできることはないか」が話題になった。担任の山本さやか教諭は生徒たちが「他人事と思わず、『募金をやろう』と言ってくれればよいな」と少し期待しながら、話を振った。

 しかし生徒の中から予想外の言葉が飛び出す。「今はお金より必要なものがあるんじゃない?」。

 翌朝、生徒たちから提出された学級日誌の中に、自らインターネット等で調べた支援に関する情報がいくつか書き込まれていた。「腐るものはだめ」、「中古衣類は処分に2800万円もかかった。もらって困るものは渡さない方がいい」、「千羽鶴やメッセージは、被災直後はあまり適していない」など、東日本大震災の経験から得られた教訓を軸に、手前勝手ではない支援の仕方が一部の生徒たちからクラス全体へと蓄積されていく。

 一方で生徒たちが放つ支援の熱は、保護者に伝播。クラスには家庭から寄せられた支援物資が集まってくる。水や栄養ゼリー、ウエットティッシュ、おむつなど五月雨式に集まった物資。日にちが経つにつれ、必要なものが変わる、と22日には生徒たちが放課後の時間を使い、仕分けて段ボールに詰めた。段ボールには、どこから見ても何が入っているか分かるように中身を記載した。物資の送り先も熊本県が受け付けていないこと、サッカー元日本代表で、J2・ロアッソ熊本の巻誠一郎選手が自ら拠点を作り、集めていることを確認し、そこへ送った。

 動きは加速する。同じ22日の生徒総会で、校内で義援金を募ることが決まり、学校全体の動きとなる。5月9日からは校内で、11日から3日間は最寄駅の小田急線足柄駅前で、通勤客などに募金を呼びかけた。募金活動には、学年を問わず約40人が参加。部活動の朝練を抜け出して手伝ってくれる生徒もいたという。

今なら私たちにもできることがある

 中学生たちの「何とかしたい」という衝動は、5年前の東日本大震災の際、小学校低学年で「何もできなかった」思いが強く後押ししている。未曾有の大災害に無力だった自分たち。「でも、今ならできることがある」。不幸にも発生した災害だが、その教訓は、災害時に地域の貴重な「戦力」と期待される中学生たちの行動力や創造力に形を変え、次代に受け継がれていることを思い知らされる。

 市内の中学校では白山の他、橘、城南、千代、国府津、泉が校内や運動会に合わせ募金を行っており、総額10万円以上に上る。今後、城山、白鷗、鴨宮でも予定している。
 

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