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藤沢 文化

公開日:2026.04.01

市民と共に創る「種」(SEED) 隈研吾氏が語る藤沢の未来【藤沢市民会館ありがとう】

  • 時折、会場の笑いを誘いながら講演を行う隈氏

    時折、会場の笑いを誘いながら講演を行う隈氏

 世界的に活躍する建築家の隈研吾氏が3月7日、藤沢市民会館小ホールで講演を行った。市が進める再開発事業「OUR Project」への参画と新たな市民会館の設計に向けて熱弁。これからの公共建築に求められる「優しさ」「開かれた空間」「市民の活動」といった重要性を市民ら約480人に説いた。

 隈氏は冒頭、横浜育ちで、中高6年間を鎌倉の栄光学園で過ごしたことを明かした。当時はバスケットボール部に所属。秩父宮記念体育館で試合にたびたび出場し、「高校の時はボコボコにされた。神奈川のレベルの高さに打ちのめされた」と冗談を交えながら藤沢との深い縁を振り返った。

 かつて汗を流した場所の隣で、新プロジェクトに携わることに対し、「神様の思し召しのよう」と感慨深げだった。

芽吹く場に

 隈氏がこれまで手がけてきた公共建築の事例紹介もあった。

 市役所とアリーナを一体化させた新潟県長岡市の「アオーレ長岡」について触れ、市役所機能よりもNPOなどの「市民活動の場」を優先させた設計思想を説明。また、30年以上関わり続けている高知県檮原(ゆすはら)町では、木造の芝居小屋や裸足で過ごせる図書館などを取り上げ、地域の人々に愛され、人が集まる空間作りの重要性を強調した。

 藤沢市民会館の設計にあたり、隈氏は次のようなキーワードを掲げた。「低層化で周囲の圧迫感を抑え、まちに馴染む高さに設定」「機能を一箇所に固めるのではなく、多様な活動スペースを分散配置し、人々が自然と動き回る村のような構成」「建物自体を市民の活動が芽吹く種(SEED)の集合体と捉え、市民が主役となる場」「災害時には避難スペースとしても機能するよう、安全性の高い設計」――。

 最後に隈氏は「大きなホールを作るのではなく、あらゆる機能が市民に使われ、回遊性があるものにしたい」とし、今後はワークショップなどを通じ、市民の意見を積極的に取り入れ、藤沢らしい「優しくて、開かれた、柔らかい公共建築を共に創り上げていきたい」と締めくくった。

 その後、市職員と管理・運営予定者、基本設計者5人によるパネルトークもあった。

 設計面では、隈研吾建築都市設計事務所と安井建築設計事務所が共同で担当。藤沢のまち、海、そして公園の緑をつなぐ「種(SEED)の丘」をコンセプトとし、多様な活動が重なり合い、自然と人が集まる空間を提案した。

 運営面では、早期から管理・運営予定者が設計に関わる全国的にも稀な手法を採用しており、市民が「居場所・活動・発表」の場として愛着を持てるよう、ソフトとハードの両面から議論を重ねているという。

 パネリストは自身の原体験を振り返りながら、「偶然の出会いや知的好奇心が刺激される場が必要」とし、「藤沢というまちの魅力を最大限に生かし、誰もが挑戦でき、次世代を担う子どもたちが豊かな感性を育めるような市民のリビングルームとなる拠点を実現したい」と展望を語った。

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