3月の卒業式を前に、市内の高校では3年生の門出を祝う”伝統行事”が開かれている。部活でお世話になったあの先輩に、学校を牽引してくれた最上級生へ、感謝の想いが形となった。
1月27日の朝5時30分、暗闇に包まれた相洋高校の弓道場前で、水谷勇太教諭(26)が火をおこし出す。35回目となる「卒業生送別豚汁会」の準備が、今年も始まった。
その後、生徒会や各クラスから立候補した実行委員のメンバーらが続々と登校。7時30分頃からは、煮立った4つの大鍋に、野菜や豚肉を順番に投入していく。普段より1時間早い6時過ぎに家を出た青木実玖さん(1年)は、「朝はつらかったけれど、生徒会の先輩たちのために」と話し、柔道部の田澤真央さん(1年)も「指導してくれた3年生に食べてほしい」と味噌で味付けをしていった。
3時間かけて煮込んだ500人分の豚汁は、11時から3年生に振舞い。「野菜が柔らかい」「肉に味がしみておいしい」といった声があがり、先輩から笑顔がこぼれた。高校で柔道に励んだ吉田萌花さん(3年)は「後輩も作ってくれたのですごくおいしい」とおかわりも。大学に進学予定で「将来は警察官になりたい」と決意を語った。
豚汁会は、生徒会の発案で1982年にスタート。近年は、具材に用いる野菜を校内の農園で育てている。今年も、長ネギや人参、大根、里芋は職員がこの日に合わせて栽培から収穫までを行った。レシピも先輩から後輩へと継承。全体を指揮した生徒会長・宮川祐太君(2年)が「うまくいった」と笑えば、前会長の北條ありささん(3年)は「送られる側になった今年は、後輩たちの想いを強く感じた。伝統を大事にするのは相洋のいいところなので、今後も続けていってほしい」と話した。
旭丘、ビジ高でも受け継がれる伝統
旭丘高でも、50年続く「卒業を祝う会」を2月16日(木)・17日(金)に開催。今年は在校生が卒業生に向けて合唱を披露するほか、3年生にとって思い出深い場所を縦3m・横8mの模造紙に描き体育館に飾る。また、商業系の小田原総合ビジネス高では、2月28日(火)に在校生も出席して、簿記や情報処理の資格で1級を取得した約100人を祝う。4月からは普通科も設置され校名変更するビジネス高だが、15年以上続く伝統はこれからも残っていく。
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