久野に居を構えた北条幻庵の功績を後世に伝える久野北条幻庵顕彰会(高瀬恵会長=人物風土記で紹介)が、屋敷跡にある通称「幻庵池」周辺の竹林整備作業を6月23日に実施した。活動の一つとして進める屋敷跡の市文化財指定は難航しているが、今後も史跡の維持保全など活動を継続していくという。
幻庵は北条早雲の四男で、新編相模国風土記稿には久野に屋敷を構えたとの記述がある。範囲は現在の久野小学校を含む約3千坪。地域では庭石や土塁、堀などが見つかっており、地図には「中屋敷」「太鼓屋敷」など屋敷があったと思しき字名が今も残る。昨年のNHK大河ドラマで紹介されたことから、最近では見学に訪れる人も増えた。
だが、一部では保全状態が悪く、古くから地元に住む人の間で「幻庵さん」の愛称で親しまれてきた池も荒廃が進んでいた。池周辺の土地は複数の地権者が係わっており、世代交代を機に開発されることを不安視した地元住民らが2016年11月に同会を結成。うっそうとした雰囲気だった池の築山の竹林整備、散在する庭石の顕在化、幻庵の功績を学ぶ講演会の開催など活動を進めている。
今年度初の竹林整備作業となった23日は、雨天にもかかわらず会員約20人が参加。薄暗かった池は明るさを取り戻しつつあり、今後は池を覆うケヤキの大木を伐採する予定だという。会員の初瀬川政典さんは、「久野が誇る史跡のひとつ。しっかり手入れし、いつか史跡公園のようになれば」と希望を語った。
市文化財指定は難航
地元地権者らは16年9月、池周辺を庭園として市重要文化財に指定するよう市へ要望し、同会もこれを支持。21日に閉会した市議会の一般質問では、小松久信市議が指定可否について加藤憲一市長へ説明を求めた。
市は文化財保護委員による視察の結果、屋敷の全体像が十分に把握できず、池も当時のままの姿か未確定であったと報告。「現段階での指定は難しい」との見解を示した。これを受けて高瀬会長は、「文化財に指定されなくても、地元の熱意で史跡を後世に伝えていく」とし、今後も活動を続けると話した。
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