昨年に続いて夏巡業「大相撲小田原場所」が小田原アリーナで8月24日に開かれ、多くの相撲ファンが力士に声援を送った。主催(一社)小田原城下町、実行委員会。2年目の会場の様子を取材した。
熱心なファンは午前8時から来場。公開稽古では体のぶつかり合う音に目を丸くし、朗々と歌う相撲甚句では「小田原」の言葉が歌われると拍手があがった。初切ではコミカルな力士のセリフや動きに、男の子が手を叩いて笑う様子を笑顔で見つめる祖父母の姿も見られた。
南足柄市の浜崎梨華さんは、長女の怜華ちゃん(向田小2年)と観戦に訪れた=上写真。親子そろって相撲好きで、今回のチケットも発売初日に購入。力士をより間近で見ようと花道に面した席を予約し、当日も開場前から小田原アリーナに駆けつけたという。「竜電が好き。顔がかっこいいから」という怜華ちゃん。色紙を何枚も持参し、錣山親方(元寺尾)らからサインをもらったほか「相撲絵師に似顔絵も描いてもらった」とにっこり。梨華さんは「真剣勝負の本場所と違って力士はリラックスモードなので稽古の合間に話もできる。びんづけ油の香りが漂うほどの距離感も嬉しい」と巡業ならではの魅力を話した。
成果と課題、「定期的開催」も検討
主催者によると来場者は約3千500人。「小田原で10年振り」「日本人横綱誕生」など注目された昨年は、満員に近い約6千人を集めていた。小田原アリーナが巡業会場として全国でも大きいこともあるが、空席がやや目立った。
主催者も楽観していたわけではない。1年目の反省を踏まえマス席の広さを拡大したり低価格の入場席を設けたりと手を打った。開催まで2カ月を切ったタイミングで「南足柄場所」の10月開催が決まるなど想定外の影響もあったという。一方では、ツアーで外国人が100人弱来場しインバウンド向けコンテンツとしての可能性も見えるなど成果を残した。
勧進元の小田原城下町理事長の杉㟢尚人さんは、巡業を終え「2年連続で開催したいという気持ちに応えていただいた皆様に感謝したい」と述べ、今後について「定期的に開催することで相撲文化を根付かせたい」として、毎年ではなく数年ごとの開催も含め、関係者と検討する考えを示した。