国立印刷局小田原(市内酒匂)の軟式野球部が「公務員の甲子園」と呼ばれる全国官公庁野球連盟第69回中央大会で準優勝を果たした。地方の役所や消防本部をはじめ、法務省(東京都)や航空自衛隊(石川県)など、47都道府県の予選を勝ち上がった官公庁チームが日本一をかけて争う大会で、頂点まであと一歩の所に迫った。
年明けのシーズン入り直前。「今年は官公庁大会で優勝しよう」。チーム最年長の平野智信投手(44)が切り出した。3年前に同大会で準優勝し、次こそと意気込んでいたが、昨年の県予選でまさかの敗退。4年連続出場も途切れた。2番手として登板し、打ち込まれた責任を感じた平野投手は、考えていた引退の2文字を封印。チームを奮い立たせた。
堅実な守備と叩くバッティングの徹底。同部の持ち味を発揮し、32チームが出場した県予選は手堅く突破した。再び全国に舞い戻り、花園航生主将(27)は「若いチームに、目標を示してくれた。選手一人ひとりのモチベーションにつながった」と振り返る。
エースを温存
官公庁大会は、4日間で6試合を戦い抜くトーナメント戦で、うち2日がダブルヘッダーという過密日程だ。加えて費用面の負担も考え、日帰り遠征を敢行。早朝2時間をかけ埼玉や東京の球場まで出向いた。「エースとはいえ、一人で全試合完投するのは不可能」。泰平誠監督(44)は2回戦を平野投手に託し、采配が的中。終盤追い上げにあうも凌ぎ切り、3回戦へとつないだ。
「ベストピッチができた」。力を温存したエース銘苅太一投手(26)は、春の大会で大敗した松戸市役所(千葉県)相手に本領を発揮。勝負所でカットボールを駆使し「面白いように三振も内野ゴロもとれた」。全員野球で白星を重ね、再びたどり着いた決勝の舞台。平野投手が先発マウンドにあがった。
あと一本に泣く好投リレー実らず惜敗
決勝の相手は全国常連の日本原子力研究開発機構原子力科学研究所(茨城県)。「ある程度失点は覚悟していた。3点以内であれば勝機はある」という泰平監督のプランは良い意味で裏切られる形となる。4回に犠飛で1点を失うも、相手打線をうまくかわした平野投手が5回1失点と好投。最少点差で銘苅投手にスイッチした。
「ロースコアは自分たちのペース」(花園主将)だけに、焦りはなかった。だがわずか2安打に抑え込まれ、チャンスすら作れないまま迎えた最終回。ここで初めて先頭打者が安打で出塁し、犠打と暴投で1死3塁と絶好機を生み出した。打者は3番・杉山正選手(25)。カウント2―1、「叩け」のサインにうなずき、インコースの速球を打ちにいくも、バットが空を切った。続く4番・花園主将は初球を捉えるも、右ライナーでゲームセット。あと1本に泣いた。
「格上相手にも勝ち、シナリオ通りだった」だけに「あと一歩届かなかったのが本当に悔しい」(泰平監督)。平野投手をはじめ、全員が持ち場で力を出し切ることで、自分たちの野球を貫いた。足りなかったものは何か―今後さらなる上を目指すべく、「これからも叩きの野球を追求していく」と力を込めた。
厳しい連戦の中、2番手として力投した平野投手は「皆が盛り上げてくれた結果が自分の投球に繋がった。このチームで野球の難しさや楽しさ、考え方を教わり成長させてもらったことで、今があり、これまでやってこられたかな」。熱戦明け、一人ユニフォームを脱いだ。「来年は必ず生意気な後輩たちが頂点を取る」。今後は仲間のプレーを陰から見守り、応援していく予定だ。
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