観光や地域活性化の拠点として開館し、18年目を迎えた小田原宿なりわい交流館(本町)。その役割の拡大を図るべく、11月から蒲鉾の食べ比べ企画など新たな取り組みが始まる。
昭和初期に建てられた旧網問屋を整備し、2001年9月に開館。旧東海道小田原宿の観光拠点として設置されたもので、品川、川崎、藤沢などにも同様の施設がある。主な機能は観光案内や休憩処、企画展開催など。第2・4日曜日にはちょうちん作り体験も行われている。
来館者数は増加
小田原城リニューアルオープンによる観光客増も追い風となり、来館者数は過去5年間で年々増加。週末に集中する傾向はあるが、1日の平均で16年度に100人を突破、今年度は9月末現在で122人となっている。昨年度を上回る年間4万4000人に達するペースだ。
来館者数でみれば運営状況は上々だが、「ここは何の施設?」とたまたま発見して立ち寄る人も少なくない。観光客向けという観点では機能を果たしていると言えるが、市では地場産業の発展に寄与するには「受け身」ではなく積極的な働きかけが重要と考え、対策を検討。小田原蒲鉾組合、地場産業に携わる小田原箱根物産連合会の若手組織「いぶき会」が賛同し、今夏から話し合いを進めてきた。
「かまガチャ」で特典
「交流館の認知度をあげる起爆剤」として始まる取り組みのひとつが、組合加盟12社による蒲鉾の食べ比べ。6社ずつの製品をセットにして500円で販売するもので、11月は毎週土日、以降も第1・3週に実施予定だ。回遊性を高める仕掛けとして、各社のロゴを缶バッジにしたガチャガチャ「かまガチャ」も設置。出たバッジに該当する店へ持っていくと特典が受けられるユニークな企画もスタートする。
小田原の主要産業である木工業を知ってもらう機会にしようと、寄木細工や漆器の展示販売も12月8日(土)・9日(日)に開催。時期は未定だが、ウメジュースや手ぬぐいの販売も検討されているほか、インバウンド対策として7カ国語対応の通訳機能をもつタブレットも導入する。
市担当者は今後について、「交流館でしか買えない商品開発やイベント開催など、『ここに来たい』と思ってもらえる施設にしたい」と展望を語った。