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公開日:2020.04.11

欠ノ上観音堂
本尊 12年ぶり開帳
4月17日に法要

  • 住民が寄進した吊るし猿を見る瀬戸委員長

  • 観音堂の境内に新しい回向柱を立てる委員会メンバー(4月3日)

 小田原市久野の総林山龍泉寺・欠ノ上観音堂で4月17日(金)、12年ぶりに本尊が開帳される。干支の「子年」に行う伝統行事で、地元住民を中心とした実行委員会により受け継がれている。



 山王川沿いにある欠ノ上観音堂は、1555年に同じく久野にある総世寺第8世大岳宗純禅師が建立したという。



 本尊は普段は厨子の中に収められており、本開帳でないと拝むことができない秘仏。高さ約60cmで、400年ほど前に久野一帯で布教していた弾誓上人の作と伝わる。上人が長い修行の旅で背負って歩いていたとされ、仏像の背中には鉄製の環があるのが特徴だ。



 今回の龍泉寺本開帳実行委員会は10人余り。メンバーは会長を務める瀬戸祐明さん(65)をはじめ地元で生まれ育った中高年が多いが、12年に一度のことでほとんどの人が委員は初めて。「引き継ぎ書みたいなものはない」といい、これまで見てきた開帳の記憶と一部残る書類をもとに準備を進めてきた。



 開帳のために準備するものの一つが「吊るし猿」。地域の世帯ごとに手作りして、名前や願いごとなどを書いた札を付けて観音堂内に吊り下げる布製の飾りだ。委員会では今回初めて、つるし猿の作り方をマニュアル化して講習会も2回開催した。ここ数年で転居してきた新規住民や若い世帯に伝える狙いだったが、講習会を通して昔からの住民同士の交流もさらに深まったという。



 境内の回向柱(えこうばしら)も12年ごとに立て替える習わしがあり、開帳を2週間後に控えた4月3日、委員の手により米松の6mの柱が新たに立てられた。無事に作業を終えた瀬戸委員長は「御開帳を機会に、地域の人が交流するきっかけにもなれば」と話している。



 開帳当日は午前11時から総世寺、東泉院、保寿寺の住職による法要が営まれる。開帳は午後9時まで。交通は伊豆箱根バス久野線「観音堂前」停留所近く。欠ノ上公民館に臨時駐車場あり。

 

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