小田原市は7月31日、日産自動車(株)らと電気自動車(EV)を活用した災害連携協定を締結した。協定には平時のEV活用も盛り込まれており、新たな生活様式や持続可能な地域社会の構築を双方が推進していく内容となっている。
市が協定を結んだのは、日産自動車と神奈川日産自動車(株)、(株)日産サティオ湘南、日産プリンス神奈川販売(株)。協定はEVの蓄電機能を電力供給源として活用するもの。災害時に市は4社からEVを貸与され、避難所などでの非常用電源とするほか、4拠点ある市内販売店の急速充電器を活用できる。
ワーケーションも視野に
また、今回の協定ではEVが持つ「走る蓄電池」としての機能を災害時以外にも活用。休暇先などで仕事に取り組む「ワーケーション」やリモートオフィスといった活用策を相互で発信していく。
これまで日産グループは全国の48自治体とEV利活用の災害協定を結んできたが、「新しい生活様式」を見据えた日常使いの内容が盛り込まれたのは小田原市が初という。
いこいの森(市内久野)で行われた締結式には守屋輝彦市長と神田昌明日産自動車理事、県内日産グループ3社の代表取締役社長が出席。守屋市長は「小田原市は持続可能な社会の実現に向け、さまざまな歩みを始めている。EVが災害への備えとなることを平時から認識し、アフターコロナやwithコロナといった新たな暮らしに対応していきたい」と期待を寄せた。
5者は協定書に署名した後、キャンプ場にセットされた電気自動車から電力が供給されたノートパソコンや家電が並ぶテントサイトを体験。神田理事は「自然環境の下でEVを活用してもらい、電気を供給するという価値を発災前から知ってもらえることに感謝したい」と話した。
協定締結を受け、いこいの森キャンプ場「RECAMP小田原」では、EVから電力を供給する機器(パワームーバー)のレンタルを開始。ワーケーション環境の整備を進めていく。