コナラなどブナ科の樹木を枯らす伝染病「ナラ枯れ」が、箱根町をはじめ県西1市3町で広がっている。現在、神奈川県と各自治体では被害状況の把握と、倒木等で人的被害が発生する危険性のある箇所及び観光地の景観を損ねる箇所を中心に、伐倒などの処理を行っている。
ナラ枯れは、体長約5mmほどの穿孔虫類(せんこうちゅうるい)、カシノナガキクイムシが媒介する「ナラ菌」の作用により、コナラやクヌギなどの樹木が集団枯死する被害。感染すると水分などを吸い上げる機能を失い、急速に葉の色が赤褐色に変色する。県内では2017年8月に、箱根町箱根湯本と三浦市で初めて被害が発生し、現在は県内全域に広がっている。
1市3町でも被害は年々拡大し、小田原市では18年度に、湯河原町では19年度に、真鶴町でも今年度被害が発生。昨年度の被害本数は箱根町で295本、小田原市で127本、湯河原町で201本に上る。
ナラ枯れは特に大径木に多く、7月から9月に突然葉が紅葉し枯れるのが特徴だ。さらに、幹に直径1・5mmから2mmの多くの孔があり、根元に木くずと虫の排泄物が混ざった大量の粉(フラス)が堆積している。ナラ枯れが進行すると枯死し倒木の恐れがあるため、箱根町では町が管理するハイキングコース周辺で感染した樹木の処理を行っている。樹木の管理は原則として森林所有者の責任で行うが、県では処理費用に対し補助金を支給している。
神奈川県水源環境保全課によると、ナラ枯れは他の種類の植物に影響が出た事例がないため、「山全体が枯れることは考えにくく、感染しても翌年に復活する樹木もある」という。終息時期については「専門家によると5年程と言われている」としている。また、急速に被害が広がった原因としては、「樹木がマキに使われなくなり、定期的に伐採されずに大径木になったことで、虫が成育しやすくなったのではないかという説もあるが、まだ解明されていない」と話している。県ではナラ枯れの情報収集体制を強化するため、県民に情報提供を呼び掛けている。
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