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開業へ向け、農家で研修 新卒1年目、槇さん23歳

文化

掲載号:2022年2月26日号

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石橋地区の矢郷農園で旬のレモンを摘む槇さん
石橋地区の矢郷農園で旬のレモンを摘む槇さん

 小田原市の新規就農者は、法人・個人を合わせて2020年度が16件、21年度は8件(2月21日時点)。市はさまざまな支援制度を用意しているが件数は伸びていない。

 小田原市石橋地区を中心にレモンなどのフルーツを生産・販売する矢郷農園で昨年4月から、槇紗加(さやか)さん(23)が研修生として農業を学んでいる。

 槇さんは大学で幼稚園と小学校の教員免許を取得、またIT系の会社でのインターンシップ(体験就業)にも積極的だったが「自分には合わないな、違うな」と感じていた。在学中に、知人を通して矢郷農園の手伝いをするうちに、農業への挑戦の意志が固まっていったという。

 小田原市で新規就農するには、県立かながわ農業アカデミーを修了、あるいは農家で2年間の研修を受けることが条件となるが、その後の農地探しがひとつのハードルとなり道半ばで諦める人も少なくない。槇さんは同園の矢郷史郎代表に相談を重ね「地元農家とのつながりを持っている方が農地は見つけやすい」などのアドバイスを受け、研修生の道を選択。小田原を拠点にして観光農園を始めたいと、一般企業からの内定を辞退し、小田原での生活を始めた。矢郷代表は「自分の中では線引きをしていて誰でも受け入れるわけではない。槇さんは何か光るものがあった」と話す。

 「農家の高齢化や後継ぎ不足などが言われているが、これは逆に参入していくチャンスではないか」と槇さんは新規就農が少ないことをプラスに捉える。「関わる農家は明るくてみんな楽しそう。意外と若い人もいる」。同園のECサイトを開設したほか、今後はユーチューブで農業をテーマに動画を配信するなど若い感性を生かした取り組みもスタートさせた。同世代の仲間と励まし合い、「レモンサワーが飲める観光農園を始めたい」と前向きに夢へ向かう。

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