国が全国の自治体に募集していた「デジタル田園都市国家構想推進交付金」について、このほど小田原市の提案事業採択が決定した。同市の交付額は2億979万1千円で、これは403の採択団体の中で、長崎県(2億4540万5千円)に次ぐ規模となり、市町村では全国トップとなる。
◇ ◇ ◇
「デジタル田園都市国家構想」(通称・デジ田)とは、先端技術活用による地域活性で持続可能な経済社会を目指す考え。同交付金は地方事業を国が支援することで、新たな人の流れをつくろうという施策だ。
同市が採択されたのは、他地域で運用されている優良モデルを活用するデジタル実装タイプ「TYPE1」。防災や行政手続き、文化観光の3事業で交付を受けた。
「ワイヤレスセンサー等を用いた住民参加型警戒・避難システム導入事業」(事業費1億9411万8千円)は、海川や土砂災害警戒区域にセンサーを設置し、得られる情報などを解析、発信する取り組み。香川県や広島県で先行事例があり、災害の危険を迅速に発信する仕組みを構築する。
「AIなどの活用による住民異動手続きのスマート化」(同6615万円)は、北海道などで運用されているもの。他自治体の転出証明書等をデータ化して取り込む「書かない窓口」やAIによる事前申請サービスで、来庁者の時間短縮や負担軽減を実現する。
「小田原市デジタルミュージアム創設事業」(同1億5931万4千円)は市有文化財の高精細デジタルレプリカなどをインターネット上で公開するもの。時間や点数といった制約なく、小田原の歴史文化を広く紹介できる仕組みで、山梨県立美術館が同様のサービスを行っているという。
自治体に対する交付額は申請した事業費の5割だが、残りの事業費も8割分を新型コロナ関連の臨時交付金の充当が可能。地方負担は実質1割となっており、「9割が交付金で賄えるのは国の施策として珍しい」(市担当者)という。3事業について、市は今年度中の運用開始を目指すとしている。
デジ田推進交付金は神奈川では県のほか、大井町や藤沢市なども採択を受けている。
小田原・箱根・湯河原・真鶴版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|