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公開日:2025.07.03
100年を紡ぐ思い さがみ信用金庫 遠藤康弘理事長インタビュー
神奈川県西部を拠点とする金融機関、さがみ信用金庫が今年10月、100周年を迎える。震災復興を設立の背景に持ち、長く地域と歩むその思いを遠藤康弘理事長に聞いた。
―100周年を迎えたことについて
「関東大震災でこの地域が疲弊した2年後、震災からの復興を目的に設立された組織がルーツです。現在のさがみ信用金庫へと続いた100年の道のりは、地域のお客さまの支えがあってこそ。常に感謝の気持ちを大切にしています。さがみ信金には、良い意味で『お節介焼き』の取引先が多く、日頃から『信用金庫とはこうあるべきだ』と教えていただきながら前に進んできた思いです」

〜さがみ信用金庫の100年〜
その歴史は1923年(大正12年)9月の関東大震災が契機。壊滅的な被害を受けた小田原地域の復興を目指し、1925年に営業を開始した「有限責任小田原信用購買組合」がルーツ。その後、合併などを重ね、1992年(平成4年)9月、小田原信用金庫と足柄信用金庫が合併し「さがみ信用金庫」が誕生した。以降、箱根信用金庫との合併、西相信用金庫からの事業譲受を経て、さがみ信金は県西部における最大の金融機関となり、2025年10月20日に創立100周年を迎える。

―遠藤理事長が考える感謝の思いは
「私は紙の名刺と合わせ、地域の間伐材を使った木製名刺を持っています。県西部ならではの素材で地域をPRし、当金庫が地域に根差した組織であることを伝えたいからです。この地は農林水産業の比率が高いので、地域の恵みにも感謝しながら地元をPRしています」

お客さまだけでなく、職員にも理解を
「私が理事長に就いた2021年、全店舗の朝礼で当金庫の歴史を伝えて回りました。大震災からの復興を目的に立ち上がった背景などを改めて考えると、私たちの言動や行いも重みが出てくると思います」

―地域貢献にも積極的な印象があります
「地域貢献への姿勢は信用金庫ならでは。コロナ禍での補助金申請支援など、すぐには収益につながらない活動にも積極的に取り組みました。他の金融機関が手を出さない中、スピード感を持って支援を行ったことは多くの方に喜んでいただきました。職員には『関東大震災で地域が疲弊した時にできたのが私たち。100年に一度のパンデミックでも存在価値を示すべきだ』と伝えました。地域からの信頼を得ていく様子は、まさに100年前に立ち返ったような感覚でした」
―地域に向けた取り組みも多岐にわたります
「例えば、空き家対策専用ローンは自治体と連携し、3年間は金利も手数料も無料。保証会社も手数料を取らない、全国でも類を見ない取り組みです。2024年から始めた農業支援ローンも2年間は金利0%にしました。これには、二宮尊徳の報徳仕法にある『将来のために種を蒔く』という考えに基づいています。目先の利益ではなく地域の持続可能性を高め、その時に収益をいただければ良いとの考えです。また、地域経済を血流と見れば、それが循環しただけでは健康な身体とはいえません。健康には栄養素も必要で、ビタミンの役割が文化や芸術、青少年育成といえます。今年は子どもと接する機会を増やそうと、新たにサッカー大会も開催します。地域の人口を増やすためにも文化支援や子どもたちを大切にしたいという思いがあります」

―信用金庫の役割とは
「収益追求だけでなく、持続可能な地域社会を作っていくことです。地域が衰退すれば、私たちの次の100年はありません。神奈川県は地方と比べれば恵まれていますが、何もしなければ衰退は加速します。先日、海外の金融機関職員が当金庫の農業金融を視察に来ましたが、これは私たちの農業支援を評価してくれたから。私たちの個性的な取り組みが注目されている証だと感じています」

―今後に向けての抱負をお聞かせください
「地域貢献を継続し、『なくてはならない存在』へ。地域と顔の見える関係を築き、地域を盛り上げていきたい。職員にも『さがみ信用金庫に入って良かった』と思える組織を引き続き目指していきます。働きやすい環境が地域定住にもつながり、足元から持続可能な社会の実現に貢献できると考えます」

―地域に向けてメッセージを
「私たちは設立趣旨に『地域を復興させること』を掲げ、100年間を歩んできました。地域なくして当金庫は存在しません。今の時代に『なくてはならない存在』を目指し、これからは5年、10年をしっかり見据えた経営を心がけていきます。それが地域と私たちの次の100年へと繋がっていくと信じています」
〜100周年を記念した企画〜



さがみ信用金庫
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