「秦野の鹿鳴館」再建へ!蓑毛からつむぐ秦野の夢 vol.10(通巻35) 文化遺産と蓑毛のまちづくり -「閻魔大王フォーラム」からの発信
2月26日に開催された「閻魔大王フォーラム」という仰々しい名称は、大日堂の境内にある四つのお堂(仁王門・大日堂・不動堂・閻魔堂)のうち、地蔵菩薩を中心に地獄の閻魔大王を含む十体の大王の像が安置された閻魔堂をクローズアップして、名付けたものです。閻魔堂は、十王堂、地蔵堂とも呼ばれていて、百一日めの茶湯供養を行う場所(茶湯殿)として多くの人に利用され、十王像群は、市指定の重要文化財ともなっています。
フォーラムの基調講演では、湯布院温泉や静岡県内などさまざまな地域で、まちづくりを仕掛け、展開させてきた溝口久さんから、地域を活性化する知恵や工夫を伝授いただきました。地域の人と商業、行政、大学、専門家がフラットな関係で話し合っていくこと、何よりも住んでいる人が町に住む喜びや愛着、誇りをもつこと、そのためには、外との交流、来訪者にファンを増やすこと、イベントのPRが重要であると、主張されました。
東海大学観光学部の松本亮三先生からは、地蔵信仰、十王思想の歴史的背景の説明がされ、中世から現在にいたる茶湯供養は民衆の宗教と位置づけられ、蓑毛は庶民信仰の発信地でもあることが明らかにされました。
そもそも、このフォーラム開催のきっかけとなった地域伝統文化総合活性化事業は、地域に関わる伝統文化の継承や活性化のため、地域の主体的総合的な取り組みを支援する文化庁による事業です。神奈川県建築士会ではかねてより、地域に埋もれた文化的価値のある建造物等を発掘し、保全・活用策を提案する専門家として「ヘリテージマネージャー」の育成に力を入れてきました。今回の事業は、その活動の一環であるという主旨が、建築士会スクランブル調査隊の森山さんより説明され、後半のパネルディスカッションがスタートしました。
地域の代表として、紫藤さん(鹿鳴館再建の会)や佐藤さん(青年会議所)からは、地域の方々が蓑毛の大切な文化や自然資源を当たり前の風景としてとらえ、その価値に気づいていないこと、子供たちも秦野のまちのことをほとんど知らないという現状が指摘されました。また、宝蓮寺の和尚さんからは、大日堂でかつて盛んに行われていたラジオ体操や座禅会、仏像ガイドなどが紹介されました。
そして、閻魔信仰は、よそよそしいものではなく庶民にとっての身近な文化であって、かつて家庭や地域で果たしてきた先祖や死者を敬う精神をも含む役割を担っており、これらを次世代の子供たちに伝えていくことが大切である。そのためには、文化財を地域で奉るだけではなく、地域が日常生活の中で、楽しみながら、学びながら、体験しながら、活用していくことが、愛着を持ち続けることにつながると、意見交換がなされました。蓑毛において、大日堂は地域文化やコミュニティの拠点として、消失しつつある御師文化を継承するためにも、地域に活かしていくべきであることが再確認されたのです。 (東海大学工学部建築学科教授 加藤仁美)
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田原ふるさと公園野菜直売研究所0463-84-1281/そば処東雲0463-84-1282 https://www.kankou-hadano.org/pointinformation/pointinformationguide/point_tawarafurusatokouen.html |
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