県が、花粉が飛散しない「無花粉ヒノキ」を全国で初めて秦野市内の山林で発見したと、12月に発表した。県内全域で4074本のヒノキを調査し、その中から1本だけ見つかったもの。県では、花粉症対策として無花粉ヒノキの苗木の生産を進めていく方針だ。
無花粉ヒノキの調査は、2011年から2012年のヒノキの花粉飛散時期にあたる3月下旬から4月上旬に行われた。
調査は、山林でヒノキの幹や枝を1本ずつ叩いて花粉が飛ぶか否かを目で確認するという地道な作業から始まる。県自然環境保全センターの齋藤央嗣(ひろし)主任研究員らが、調査2年目の2012年4月、秦野市内の山林で幹を叩いても花粉が飛散しない、樹齢40年ほど、高さ約10mのヒノキを発見。その場で枝先の花を採取し、花をすりつぶしても花粉が落ちなかったという。
持ち帰った枝を挿し木して、翌年春に再び調べたところ花粉を出さないことを確認。電子顕微鏡での観察なども行い「無花粉の品種」であると断定した。
なお、新品種の育成者の権利を保護する「品種登録」に係わるため、県は無花粉ヒノキの発見場所の詳細は明らかにしていない。
県では2004年に県内で発見した「無花粉スギ」のデータから、突然変異による無花粉ヒノキ発生を5000本に1本程度と想定。2000年ごろから、ヒノキの苗木を合計5500本栽培する試験も行っていたが、発見には至っていなかった。
花粉症対策として県は、発見したヒノキを挿し木や接ぎ木で増殖し苗木の生産を進める方針。
一方で、今回発見したヒノキは雄花、雌花とも正常な種子が形成できず、苗木の生産は挿し木や接ぎ木に限定される。苗木が単一の形質になるため病虫害の被害が大きくなるリスクもある。県では「今後、種子による増殖が可能な性質を持ったヒノキも引き続き探索する」としている。
スギとヒノキはアレルギー源の性質が近く、スギ花粉症患者の70〜80%程度はヒノキ花粉でも症状が出るという。
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