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秦野 スポーツ

公開日:2022.03.18

ボクシング
定年は37歳プロを引退へ
菖蒲出身 斉藤さん

  • 昨年6月、日本ランキング1位の選手と戦う斉藤さん(左)

 「まだやれるんだけどなぁ」。日本ランキングに入っていないプロボクサーは基本的に37歳が定年。3月18日の誕生日で37歳となる斉藤正樹さん(菖蒲出身)は、この日プロボクサーとして引退を迎えることになる。戦績は15勝16敗6分。決して輝かしい結果ではないが、日本ランキング1位になった経験や、遅咲きながらも32歳のときにチャンピオンベルトをかけたタイトルマッチにも挑戦した。最終戦となった昨年6月は日本ランキング1位の選手と対戦するも、僅差の判定負け。冒頭の言葉は、この結果からきている。

 幼い頃から高校生まで続けてきたのはサッカー。プロボクサーを目指す若者を追ったテレビ番組に影響を受け、高校サッカーを終えた後、ボクシングジムの門戸を叩いた。当時は本気度が周囲に伝わらず、茶化される場面もあったが、大学在学中の20歳のときにプロライセンスを取得。デビュー戦を勝利で飾ると周りの目も変化した。「チーム競技も楽しかったけれど、全てが自己責任という『自分との戦い』への憧れがあった」ときっかけを話す。

 大学卒業後は、一般企業に就職。プロといえど、ボクシングだけで生活ができるのは一握りの選手のみ。仕事を終えた足でジムに通い、ほぼ休むことなくトレーニングに励んだ。

 「見るからに自分より弱いヤツとは戦いたくない」。対戦相手はいつも格上選手を選ぶのがポリシー。下馬評では圧倒的不利の状況から金星をあげる試合を幾度と展開した。身長182cmと長身ながらも階級はライト級(61・2kg以下)。「どの相手よりもリーチが長いのが特長なんだけど、リングに上がると勝気が勝ってインファイト(懐に入っての接近戦)になっちゃうんだよね」と笑う。

人生のチャレンジは終わらない

 ボクシング人生は約20年となるが、大きな怪我をしなかった。引退を間近に控え、「KO勝ちも少ないけど、KO負けもない。多くの試合をフルラウンドで戦ってきたにもかかわらず、怪我が無いのは奇跡的だと思う。その点だけは納得している」と安堵の表情を見せる。その一方で「ボクシングの結果は後悔しかない。あの時はあぁしてればとか、もっと練習しておけばとか」と吐露する。こうした「諦めの悪さ」も定年まで競技を続けられた理由だろう。

 今後は平塚にフィットネスジムを開業予定。「スター選手とは程遠い成績だったにもかかわらず、不思議なことに応援してくれた人は年々増えていった。これからは支援者に恩返しをしていきたい。フィットネスジムでは身体のことだけでなく、交流できる場としても提供したい」と新たな舞台(リング)へと歩み出す。

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