春の叙勲で「瑞宝双光章」を受章した秦野保護司会会長の 野尻 光子さん 萩が丘在住 74歳
巡り合いに感謝
○…「家族+1」。そのプラスワンとして、犯罪や非行をした人の立ち直りを支援してきた。保護観察対象者から”保護司の先生”と呼ばれることを好まず、「『野尻さん』と呼んでと。近所のおばさん、味方のおばさんが増えたと思ってくれたら」。柔和な笑顔が、親しみやすさを醸し出す。保護司歴26年、国や公共に対する功労が認められ叙勲を受章。「決して1人の力ではない。指導してくれた先輩、補ってくれる仲間がいたからこそ」と感謝を語る。
○…保護司のボランティア活動を始めたのは47歳。地区の後任を探していた秦野保護司会から、白羽の矢が立った。教員だった夫を介し、会員が自宅へ。「何も知らないのに無理です」。2回断るも、3度目の来訪で心は揺れ、夫の言葉で決断した。「(あなたの)お父さんが生きていたら、喜んで応援してくれたんじゃない」。市議会議員として街に思いを巡らせた実父のように、安全・安心な地域社会を理想に掲げた。
○…傷害、窃盗、無免許運転などによって未成年が保護観察対象となることが多い。本人だけでなく、親とも会ってフォロー。「未来がある子たち。本人が気づき、自分の力で更生してくれたらうれしい」。対象者が更生後に「免許取れたよ」、「結婚して幸せ」と子ども連れで会いに来てくれたこともある。
○…秦野出身。少女時代は内向的だった。銀行員、結婚と子育てを経て、人と関わることを好むように。現在は障害者を支援する仕事をしながら、38人が在籍する秦野保護司会を会長としてけん引する。「みんながよくついてきてくれている」と再び口をつく感謝の言葉。人に恵まれてきたと自覚するからこそ、周囲には温かい眼差しを向けることができる。