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秦野 文化

公開日:2025.08.29

高校演劇、舞台裏に迫る
文化祭直前インタビュー

 秋は文化祭の季節。演劇部がある秦野高校と秦野曽屋高校では、9月の文化祭で上演する劇の準備が進められている。文化祭を前に、両校の演劇部に部の雰囲気や特徴、劇の見どころ、演劇への思いなどを取材した。

秦野高校演劇部

 秦野高校演劇部(劇団名・Dream Factory/矢野悟顧問)は今年1月に創部以来初の関東大会出場を果たした。現在3年生は引退し、1・2年生合わせた部員10人で活動している。

 8月19日の練習には6人の部員が参加。台本を覚えながら、セリフ合わせなどが行われた。

オリジナルの台本で

 取材時は台本が仕上がって間もなく、タイトルも未定。部長の栗原明(めい)咲(さ)さん(2年)が手がけたものだ。思春期特有の人間関係の悩みなどをテーマとした作品だという。「中学時代や高1の時など周囲の環境が変わって苦労した時の気持ちを元にした。同じ思いをしたことがある人に刺さる内容になれば」と台本に込めたメッセージを語る栗原さん。7人が役者として、3人が音楽や演出を担当し10人全員で舞台を作り上げる。

環境変化乗り越え

 最上級生として部を牽引する2年生は「関東大会出場の実績はプレッシャーでもある」と苦笑い。関東大会出場時の台本は前顧問が手がけていたが、春から顧問が変わり生徒が台本を書くように。頼りにしていた3年生も引退し、環境も大きく変わった。大変なこともあるが、その分「やりがいを感じる」と部員たちは意欲的だ。「専門知識がついてドラマやアニメを見ても演出の方法などに目がいくようになった」と日々成長を実感している。文化祭で披露する劇はその後ブラッシュアップし、10月の地区大会でも演じていく。「まずは県大会に行きたい。自分たちが作ったものが認められればうれしい」と意気込みを話す。

 台本から演出まで部員たちが考え、作り上げてきた今回の劇。文化祭では昨年度までの秦野高校とは全く違う雰囲気の劇を見られそうだ。

 秦野高校の文化祭・広陵祭は9月5日(金)・6日(土)一般公開。演劇部は両日とも午後1時から上演開始。

秦野曽屋高校演劇部

 秦野曽屋高校演劇部(劇団名・Dream Laboratory/山本栄一顧問)は、現在部員3年生3人、2年生3人の6人で活動している。

 現3年生が入学した時には3年生部員が3人在籍するのみで、コロナ禍の影響で1度も公演を行えなかったそう。演劇部の顧問経験がある山本教諭が着任してから体制が整い、年間3回の公演を定期的に行えるまでに活動状況が回復した。

 8月21日の取材では、文化祭に向けて部員4人が集まり、立稽古や当日までに用意する道具の確認を行っていた。

役者の魅力を生かす

 文化祭で披露する劇の台本は、台本配布サイト「はりこのトラの穴」から選んだ『丹波ツルギはわからずや。』(作者・御子柴ひつじ)。思ったことをすぐ口にしてしまい、デリカシーのない高校生・丹波ツルギの言動によって周囲の友人たちが抱えていた悩みや秘密が明らかになっていく物語。1年生が探してきた台本を採用したという。「部員のキャラクターに合った役が多く、役者の魅力が出る台本だと思います」と部長の戸田大翔(ひろと)さん(3年)は話す。

観客のため日々研鑽

 7月には、市内の演劇・人形劇団体のフェスティバル「サマーシアター」に出演。参加団体の一つ「劇団ぴーなっつ」の小学生から劇の感想を書いた手紙をもらい、演じる楽しさを改めて実感したそう。少人数で「ゆるい雰囲気」の部活だというが、練習が始まると全員が真剣なまなざしに。「ここの背中を押すところ、もっと強く押した方が良さそう」「ここは上手から出た方がいいね」。全ては見る人のために―。学年の垣根を超え、自由に意見を交わし作品を作っていく。台本は既存のものを選んだが、部の色が出た劇に仕上がりそうだ。

 秦野曽屋高校の文化祭・秋輝祭は9月6日(土)一般公開。演劇部は午前11時から上演予定。

半数以上が未経験で入部

 秦野高校・秦野曽屋高校の演劇部を取材し、部員は大半が演劇未経験者だったことが分かった。秦野高校は部員10人中8人が、曽屋高校は6人中4人が高校から演劇を始めている。「コロナ禍や少子化を受け文化部は人集めに苦労しています。特に演劇部は中学校に部活がないことが多いので、経験者が少ない」と曽屋高校演劇部顧問の山本栄一教諭は話す。秦野市内の中学校でも、演劇部があるのは9校中2校のみだ。

 未経験から演劇部に入った理由として「劇団四季に憧れていた」「部活動紹介で先輩の演技を見てひとめぼれ」など演技に興味があった人の他、照明や音響など裏方をやりたくて入部した人もいるという。

 実際、演劇部に入ってどうだったのか―。「演じている時は自分と違う自分になれる」「お客さんが感動してくれるのがうれしい」「みんなで舞台を作り上げるのが楽しい」といった感想を両校の部員は話す。演技中の没入感、観客の心を変えられる爽快感、仲間と舞台を作った達成感が魅力のようだ。

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