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秦野 社会

公開日:2025.09.26

詐欺被害増加率 県内ワーストに
年末に向け急増の恐れ 秦野署が注意呼びかけ

  • 秦野警察署浅田二郎 署長

  • 生活安全課鎌田波留花さん巡査

  • 交通課菅野隆彦さん警部補

  • 地域課・山岳救助隊中島陽平さん巡査部長

 秦野市内で急増している特殊詐欺。年末にかけて被害が拡大することも予想されている。また、交通量の増加や忙しさなどから交通事故も増える時期。市民の安全・安心を守るため、まちが一丸となって取り組む必要がある。秦野警察署の浅田二郎署長に聞いた。

 --特殊詐欺の現状について、特に注意すべき点を教えてください。

 秦野市の特殊詐欺被害の増加率は県下で一番高く、非常に深刻な状況です。特に被害者の多くは80代の女性で、自宅の電話に犯人からの電話が頻繁にかかってきています。被害者の多くは詐欺の手口を知りませんでした。被害を防ぐには、市民の皆様がご家族やご近所、職場で特殊詐欺について話し合い、認識を深めることが不可欠です。

 --年末年始に特殊詐欺が急増すると聞きましたが対策はありますか?

 例年10月から1月にかけて特殊詐欺被害が急増する傾向にあります。直接本人に電話がかかってしまう特殊詐欺は、警察のパトロールだけでは防ぎきれません。『おじいちゃん、おばあちゃんが狙われている』ことを認識し、市民一丸となって「高齢者を特殊詐欺から守る」という意識を持ち、常に話題にしてほしいと思います。

 --交通事故についてはどうですか。

 秦野市の交通事故で特に注意していただきたいのが自転車です。自動車は1トンの鉄の塊であり、わずかな接触でも致命傷につながる可能性があります。大切な家族、特にお子さんが自転車に乗る際はヘルメットを必ず着用させてください。

 --自転車のヘルメット着用は努力義務ですが、どうお考えですか?

 確かにへルメットの着用は『努力義務』とされていますが、着用時とそうでない時の死亡率は明らかに違います。命を守るために今すぐ努力を始めることが重要です。

 --丹沢での遭難事故リスクについてはどうでしょうか。

 コロナ禍以降、3年半の統計によれば、丹沢の遭難事故で死亡に至るケースは約20件に1件。非常に死亡率が高いと言えます。遭難の主な原因は、疲労による歩行不能や道迷い、滑落、急病などです 。安易な気持ちで登山に臨むことは非常に危険です。自身の体力を過信せず、万全な事前準備をしてから登山を楽しんでください。

 --最後にメッセージをお願いします。

 当署は来年7月に100周年を迎えます。秦野がさらに安全で安心なまちになるよう、市民の皆様には『自身の問題』として受け止めていただき、犯罪抑止、交通事故防止に共に取り組んでいけたらと考えています。

【詐欺被害】被害総額3億に

 深刻化する秦野市内の詐欺被害状況について、現状を生活安全課の鎌田さんに聞いた。

 8月末現在、秦野市内の特殊詐欺の認知件数は31件。前年比23件増で、被害額は約9450万円に上る。SNSを利用した投資・ロマンス詐欺では13件、約1億8900万円の被害が出ており、被害総額はあわせて3億円に届く勢いだ。

 投資・ロマンス詐欺の被害者の多くは40代女性と50代男性。特殊詐欺は80代女性の被害が顕著で、特に息子や孫を騙る『オレオレ詐欺』が全体の63%を占めるという。音声ガイダンスから誘導し、警察官などを騙りお金をだまし取る手口も増えており、「相手が誰であろうと『お金の話が出たら詐欺』だと思うことが重要です」と鎌田さんは話す。

 重要なことは『犯人と話さないこと』であり、知らない番号からの電話には出ない、留守番電話や迷惑電話防止機能付き電話機を活用するなどの対策が有効だ。また、かかってきた電話番号にかけ直さず、自ら警察署の番号などを調べて確認することも重要だという。「詐欺の手口を知ることで、踏みとどまることもできます。日頃から話題に出し、警戒を強めてほしい」と話している。

【交通事故】ヘルメットが命守る

 秦野市内での今年8月末までの交通人身事故発生件数は158件(死者1人)。全体では前年同時期と比べ20件減となっているが、内訳をみると、歩行者が関係する事故は22件(前年比5件増)、自転車が関係する事故は38件(前年比3件増)と増加傾向にある。

 交通課の菅野さんは「自転車や歩行者は体を守るものがないため、事故発生時に負傷する割合は非常に高い。県内の状況をみると、特に自転車では、死亡した被害者は全員ヘルメットをかぶっていなかったという統計が出ています」と話す。一方で、ヘルメットを着用していた人の死亡事故は8月末現在でゼロ。「ヘルメットを着用することで、防御になることはもちろん、交通安全に対する意識も高まります」と菅野さん。来年4月からは、自転車の交通違反に対する罰則が厳罰化となる。今から市民一人一人が交通ルールを再認識し、安全意識を高めることが重要だ。

 年末年始は交通量が増えるほか、忙しさからくる焦りなどで交通事故が増加する時期。歩行者・自転車のみならず、自動車のドライバーにも十分な注意を呼び掛ける。また、問題になっているヤビツ峠のドリフト対策にも力を入れる構えだ。

【山岳遭難事故】計画的な登山を

 秋の登山シーズンを迎える表丹沢。遭難事故も増えるこの時期、注意点を山岳救助隊の中島さんに聞いた。

 「今年は熱中症や装備品不足のほか、体力を過信した無理な登山計画によって起こる遭難事故が多い」と話す。8月末現在で、秦野署管轄の遭難事故発生件数は26件。軽い気持ちで日帰り登山に臨み、下山時に体力がなく動けなくなったり、転倒して骨折し救助を呼ぶケースも多い。また、予想より時間がかかって日没を迎えてしまい、ヘッドライトを持っていないため下山できなくなるといったこともある。

 「表丹沢は簡単な山ではありません。日没前に下山できるよう余裕をもった計画を立て、ヘッドライトなどの装備品を万全に、また2リットル以上の水をしっかり準備して登山に臨んでほしい」と中島さんは話す。今年はクマの目撃情報も増えているため、「単独での登山もなるべく避けてほしい」という。

 登山で重要なのが『登山計画書』の提出だ。計画書を作成することで事前に計画に無理がないかチェックできるほか、遭難時には救助活動の手助けとなる。紙での提出のほか、登山地図GPSアプリ「YAMAP」の活用も推進している。

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