10月23日に「SHO-文字は踊る-」を出版した書家 末廣 博子さん 能見台在住 63歳
50年を凝縮した「一瞬」
○…可憐に踊るバレリーナの「舞」、今にも羽ばたきそうな「蝶」―書道というよりも絵画を思わせる作品は、華やかで可憐。「書は人を表す」という言葉の通り、作品から人柄がにじむ。10月23日、約80点の代表作のほか、自身の経歴やデザイン書道のノウハウを解説した本を出版した。「数々の名のある書家の土台があって、私がいる。今だからこそできた結晶」と話す。
〇…「女性は何か一つ、人に負けないものを」という母の教えのもと、バレエなど様々なことに挑戦した少女時代。小2の授業で、はじめて書道に出会う。「見たこともない道具ばかり。薄い半紙に書く感覚には感動した」と振り返る。ある日、担任の先生が「あなたは書家になる」と自身の作品を持って行ったことがあった。「当時は半信半疑でしたが、賞は何度かいただきましたね」。そして中学で書道部へ。よき師に出会い、半紙が水を吸い込むように、伝統書道の基礎を吸収していった。
〇…「書道は手本があり、それを真似して書くもの」という概念が180度変わったのは、20代後半。商品ロゴを多数手がける平岩雪香さんとの出会いだった。「それまで習った線とは違う雰囲気で、人間味が作品に現れていた」。その作品の衝撃が、外国人と接する機会の多い「ミス横浜」を務めたことで芽生えた漠然とした思いを甦らせた。「漢字が分からない外国の人にも、形や雰囲気で理解してもらいたい」。かつての希望が形として認識できた瞬間だった。
〇…50年以上続けてきた書道経験を一瞬に凝縮し、表現する。「道」と付くものに近道はないと言い切る一方で、「楽しいから続けていただけ。まさに継続は力ね」と軽やかにほほ笑む。書道に生かされて今がある。だからこそ、多くの人に親しんで欲しいと願う。海外でのパフォーマンスも多い中、「世界にどのように広がるか考えるとワクワクするの」とにっこり。自由な精神で書の世界を拓く。
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