町田版 掲載号:2017年12月7日号
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宮司の徒然 其の34 町田天満宮 宮司 池田泉

「紅 葉」

 今年は紅葉が早かった。温暖化が騒がれているだけに、いつもより寒くなるのが早いのは喜べなくとも、一方で遅いよりは早い方が安心な気もする。日本人は季節の風情が大好物だ。特に秋の紅葉、春の桜、夏の花火は華やかさとわびしさが短期間・短時間にやってくるという共通点がある。一斉に始まって一斉に終わる。そして次を待つ心持ち。

 紅葉をモミジと読むのは、モミジが押しも押されもしない代表格だからで、例えモミジが無くても、紅葉狩りと呼んで差し支えはない。獲物を狩るわけでもないのに紅葉狩りと言うのは、狩りをしない貴族が山に入り、あたかも狩りをするように歩いて紅葉を楽しんだことからできた言葉らしい。何とも獣たちには有難い平和な狩りだ。

 モミジとカエデ、どう違うかという議論があるが、答えはとても簡単で、モミジはカエデ属でくくられた中の種類だ。カエデの語源は「カエルの手」だから、幼子や彼女の手を褒めて「モミジのような可愛い手」と言うのは「カエルみたいな手」ということだからどうなのだろう。

 紅葉のメカニズムは至極科学的で、日照不足と低温によって幹が葉の養分を回収して遮断する。すると葉は残った養分や糖分が変化したり、自分を守る成分を作り出したりして色が変わる。正確には赤くなるのを紅葉、黄色くなるのを黄葉、褐色になるのを褐葉というが、一くくりで紅葉と呼ばれている。紅葉もそれぞれに色合いが違い、イタヤカエデは濃い赤だが、イロハモミジ(写真【1】)は赤の中に黄葉も混じる。ドウダンツツジ(写真【2】)やナナカマドの赤は明るく鮮やかで、柿(写真【5】)の葉は一枚の中に緑、黄色、赤を取り混ぜる。マンサク(写真【4】)やザクロなどは見事な黄葉だから、紅葉とくくられるのは我慢ならないかもしれない。また何色とも表現しづらい色合いで楽しませてくれる下草のイカリソウ(写真【3】)など、環境にも左右されてそれぞれの個性が発揮される。とは言え、いずれにしても老化現象であることは変わりなく、散り際の華やかさ、これも日本人の大好物と言える。国土の全ての木が落葉樹であったなら日本の冬は丸裸だ。これを常緑樹が補う。楠木、榊、椿、山茶花、モチノキなどや、松、樅、サワラなどが緑を保つ。紅葉は常緑樹とのコントラストにも趣がある。厳しい冬が来る直前の華やかさは、桜の開花同様に日本人の心を温めてくれる。

 秋と言えば、狐につままれたような総選挙があった。政治家は同じ政党に属していても与野党共に全く同じ木ではない。与党に対抗するための雑木林が新進の緑色の若い山に入り込もうとしても、同属ではないと仕分けられ排除され、プライドのある木は残ってコロニーを作り、結果大勢はそれほど変わらなかったが、雑木の色分けが明確になっただけ良かったのかもしれない。嵐山の竹林のように根をしっかり張り巡らせて、政治家がまっすぐ伸びやかに空を目指す日本になってくれないだろうか。紅葉、黄葉、褐葉、読めなかった方々、人にも個性があり主張も違う。折しも秋だったから。
 

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