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取材協力／海老名総合病院 医療レポート特別対談No.５ 心臓血管センターの役割 循環器内科 田邉晃久顧問×心臓血管外科 小原邦義顧問
海老名・座間・綾瀬版
公開：2011年4月22日
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モットーは「昼夜、断らない」
循環器内科と心臓血管外科で構成され、互いに緊密な連携のもと、一つのチームとなって診療にあたる海老名総合病院の「心臓血管センター」。今回は昨年４月から同センターの顧問に就任した田邉晃久、小原邦義両顧問にセンターの取り組みや今後について聞いた。
―それぞれの取り組みについてお聞かせ下さい。
田邉 循環器内科は８人の医師がおります。心筋梗塞、狭心症、不整脈、心不全、高血圧、心筋症などが主な治療対象です。急性心筋梗塞など危険性の高い患者さんはいつでも受け入れ、カテーテルを使い冠動脈の閉塞や狭窄を広げる治療を行います。カテーテル治療数は月に30例を超え、症例数の多さと技術力の高さを自負しています。重症不整脈に対してはペースメーカーや埋め込み型除細動器の植え込み、心筋焼灼術などの先端治療を行っています。
―心臓血管外科は
小原 冠動脈疾患、弁膜症、先天性心疾患などのほかに大動脈瘤や急性大動脈解離の手術などを得意分野としています。冠動脈疾患は循環器内科との連携のもと、重症例の手術を行います。また急性期対応病院として心臓血管疾患の緊急手術、再手術、ハイリスクの高齢者などの手術にも積極的に取り組んでいます。当センターは急性期患者さんが対象であることが多く、「少しの診療の遅れ」が重大結果を招きます。私たちは「どんな場合でも断らず最高かつ安全な医療提供を」をモットーに、日々患者さんと向き合っています。
チーム医療で命を救う
―連携とはどういうものか具体的にお教えください
田邉 当院は、海老名市、綾瀬市、座間市など県央地域の地域支援病院として非常に多くの救急搬送患者さんの受け入れをしております。そのなかで当院では、いつでも救急患者さんを受け入れ「断らない」医療に努めています。場合によっては大学病院で扱うような３次救急も受け入れ態勢を整えています。もちろん受け入れるための設備や医療技術があるからです。
小原 地域の診療所や病院などの医療機関と密に連携をとり、必要であれば患者さんを受け入れます。当院は厚生労働省が定める「４疾病５事業」に上げられる急性心筋梗塞、救急という２つのキーワードを満たしている県央地域の数少ない医療機関として、地域における循環器施設の最終施設としての責任を持って手遅れにならないよう努力しております。
田邉 当院は大学病院と比べ規模が小さい分小回りがききます。そして心臓血管外科と循環器内科が境界を
持たずひとつになって一人ひとりの患者さんを大切にして診ます。病名で診るのではなく重症度など症状で総合的に判断し、どのような処遇が適切か判断しています。
―高齢化に伴い心臓疾患患者が増えていると聞きます
小原 昨年１年間に心臓血管外科では２２２例の手術を行っています。そのうち胸部、腹部大動脈手術はそれぞれ昨年よりも増えています。大動脈疾患は難しい技術を必要とするため手術は「行わない」もしくは「できない」ところが多いのが実情ですが、当院では積極的に受け入れ手術を行っております。冠動脈バイパス手術では人工心肺を使わない手術を行います。これは術後の回復が早く、高齢者や肺の病気を抱える患者さんに負担が少なく有効です。昨年は１００％人工心肺を使わずに冠動脈バイパス手術を行いました。
田邉 心筋梗塞は早急に適切な治療を行わないと死亡率が高くなります。原因は不整脈や心不全などですが、短時間内の処置により心臓の筋肉の傷害が少なくて済みます。当院では障害心筋を最小限にするため直ちにカテーテル検査を行い、迅速に処置できる体制とスタッフが揃っています。したがって手遅れで亡くなるケースが少なくなっています。
―不整脈による突然死を防ぐための治療があると聞きますが
田邉 不整脈はこれまで薬に頼るしかありませんでしたが、原因箇所をカテーテルで処置する方法や、突然死の救命を目指す新たな器具を植え込む方法が始まっています。これは、もしものときに心臓が止まっても意識がなくなる７秒を境に自動的に心臓に電気刺激を与えるものです。これにより不整脈による突然死が減少できると期待しています。
―読者にメッセージを
田邉、小原 当センターは今後も周辺地域の皆様が、安心して暮らすために必要とされる最先端医療の提供をめざし、広く貢献できるよう努力して参ります。
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