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ノーベル賞大隅さん 「第二のふるさと」で名誉町民 大磯町が称号贈呈

社会

公開:2017年2月24日

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名誉町民の称号が贈られた大隅さん(中央)と妻の萬里子さん
名誉町民の称号が贈られた大隅さん(中央)と妻の萬里子さん

 大磯町は16日、ノーベル生理学・医学賞を受賞した東京工業大学栄誉教授の大隅良典さん(72)に名誉町民の称号を贈った。吉田茂元首相や作家の島崎藤村などに続き、日本人としては7人目の称号を受けた大隅さんは、「大磯は第二のふるさとのような土地。大変重い称号をいただいた」と感謝の言葉を述べた。

 議場で開かれた贈呈式には、中崎久雄大磯町長や町議、町職員らが出席。大隅さんを一目見ようと、40人近い町民も傍聴席を埋めた。妻の萬里子さん(70)を連れて大隅さんが入場すると大きな拍手が湧き起こった。

 中崎町長は「ここ数年、ノーベル賞受賞者が決定するころには大隅先生の名前がいつ発表されるのか期待していた。大磯町140年の歴史に新たな1ページが加わり、大変嬉しく誇りに思う」とたたえた。

 大隅さんは10年ほど前に大磯町への移住を決め、8年前から住み始めたという。「新参者ではあるが、海や山があり自然が残されている静かな町を、私たちも十分に楽しませていただいている。子どもたちがのびのびと育っていける町を、これからも大事にしてほしい」と語った。

 大隈さんは、細胞自らが不要になったタンパク質などを分解する自食作用「オートファジー」の働きを解明し、日本人では25人目となるノーベル賞を受賞。あいさつでは自身の研究活動にも触れ、「(基礎研究は)科学の面白さや人間社会を切り開いていく大事な力であることを理解してほしい。これからも残された時間の中で、何としても解いてみたい問題にチャレンジしたい」といい、「社会の閉塞感が取り除かれ、若い人がのびやかに人生を考えられる世の中のためにも力を尽くせたら」と抱負を述べた。

 傍聴席で観覧していた男性(76)は「大磯町からノーベル賞受賞者が出るなんて素晴らしいこと。大隅教授のあいさつを聞くと、誠実な人柄が伝わってきた」と話していた。

大隅良典さん、萬里子さん会見自然豊か「終の棲家に」

 ―ノーベル賞受賞後は生活も一変したのでは。

 大隅さん 知らない方から声をかけていただき、サインや写真を求められることもたくさんあります。特に大磯駅に降り立つと、その頻度が高くなる。別に悪いことをしたわけではないので、できるだけみなさんとお話をするようにしています。

 萬里子さん 以前よりは普通に生活できるようになりましたが、(スーパーなどの)セールには行きづらいです。

 ―スケジュールはかなり先まで埋まっているのか。

 大隅さん 毎日3つ、4つの依頼が入ってくる。すべて受けるわけにはいかないが、お断りすることがこんなにエネルギーを使うものかと感じています。

 ―大磯に移住したきっかけは。

 大隅さん 単身赴任先の愛知県岡崎市から関東に戻って来ようというときに、彼女(萬里子さん)は大変行動力がある人で、東海道線をずっと歩き回って『大磯が気に入ったからここに住もう』と。それで私はここに連れてこられた感じです。

萬里子さん「図書館が決め手」

 ―奥様はどういったところが気に入ったのか。

 萬里子さん 駅前に山があり静かな佇まいで、ちょっと歩いたら図書館もある。いろんな本が充実していて、老後は本を読みたいのでこの図書館がいいなって。

 ―教授は。

 大隅さん とてもいい町だと思いました。東京工業大学に勤めるからここへ来たのではなく、大磯に住んだから東工大で仕事をするようになったんです。終の棲家として大磯に住もうと思い、決断をしました。

 ―大磯の中でお気に入りの場所は。

 大隅さん 湘南平に登って富士山を見るのは楽しいし、海岸もそれほど人工的ではない砂浜があり素敵だと思う。美しく作られた庭園などよりも、田んぼのあぜ道に咲いている花を見るほうが私にとっては癒される。身近に自然を感じられる土地柄というのは、子どもたちがものを見る目を養う上でも大事なことではないでしょうか。

 ―学生結婚と聞いたが、教授は出会ったころから変わっていないか。  萬里子さん 変わらないですね。うちは2人とも先のことを考えたりとか、世の中のいろんな動きをみてどうしたりとか、そういうことが一切なく、したいようにしてきたので。

 ―2人の時間はどのように過ごしている。

 萬里子さん 朝は7時過ぎに出てしまいますし、夜も8時過ぎなので、帰ってきて食事をして寝るだけです。主人は庭仕事が好きですが、今はそういうことも一切できませんね。

 ―丸1日休みが取れたとしたら。

 大隅さん やりたいことができていないというフラストレーションはないので、のんびりと過ごしたい。美術鑑賞や音楽会などに、もう少し時間を割けたら。

 ―大磯に根付いた活動などは。

 大隅さん 子どもたちと接する機会はどこかで作りたい。仰々しくない、気楽で小さな集まりがあるといいなと思いますが、今すぐには難しいかもしれません。

 ―大磯の子どもたちはどのように映るか。

 大隅さん 2、3人の子どもを持つ家庭が多いと聞くし、そういう人が大磯に帰ってくるということもある。そういう意味では健全で、子どもたちがのびのびといられる町なのではないでしょうか。

 萬里子さん 図書館のおはなし会に小さいお子さんから小学生まで参加している姿を見ると、幸せに育っているなと感じます。

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