中原区 人物風土記
公開日:2026.06.19
6月21日の「哲学と音楽のサロン」で民主主義をテーマにビオラを演奏する 大島 路子さん 上丸子八幡町在住 60歳
音楽で紡ぐ「おいしい関係」
○…きらびやかな主役のメロディーを支え、時に深く語りかけるビオラ。その役回りを「サンドイッチの具」に例えて微笑む。「パンが良くても具がおいしくないと台無し。アンサンブルに深い味わいを出す、やりがいのある楽器なんです」。4歳からピアノを弾き、7歳のときにバイオリンを始めた。転機は高校時代。ビオラと出合い、深みのある音色とアンサンブルでの役割に一瞬で魅了された。音大4年時に迷わずビオラ奏者への道を歩み出した。
○…大学卒業後はアメリカへ。11年間に及ぶ滞在と音楽活動の中で、人生を決定づける「宝物」を見つけた。現地の室内楽協会で学んだ、徹底的に地域とつながりながら音楽を作り上げる「コミュニティ活動」の精神だ。帰国後、2009年から中原区に移り住む。ビオラ奏者として「顔の見える身近な場所で音楽を届けたい」と、区内を中心に本格的な地域活動をスタートさせた。
○…現在は、仲間とともに『リトルクラシック・イン・かわさき』を主宰。小学校や高齢者施設、児童養護施設などを精力的に回り、音楽プログラムを届けている。大切にしているのは、ただ「すごい演奏」を聴かせることではない。聴き手の人生や思い出に音楽をそっと寄り添わせるコンサートだ。「音楽は日常に一番近いところにあるべきもの。誰かと空間や体験を共有し、一緒に共感してもらえたら」
○…多忙な日々の息抜きは、夫と二人で包む手作り餃子。そんな庶民的でチャーミングな一面も見せる。今後は、さらに人生のエピソードを音楽で紡ぐ活動を発展させたいと願う。「音楽は互いの声を聴き、より良い合意を目指す『民主主義』のよう」。新丸子の街から人と音楽を結ぶ優しい音色を響かせ続ける。
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