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青葉区 人物風土記

公開日:2020.01.16

青葉区三曲協会の会長に昨年末、就任した
山戸 伊久保さん(本名:山戸康子さん)
美しが丘在住 68歳

音の可能性求めて

 ○…箏・三絃・尺八による伝統音楽の継承と普及を続ける三曲協会。演奏会のほか、小学校での演奏・楽器体験など精力的に活動した前会長の熱意に触れ「自分も勉強してきたことを地域に還元したい」と会長を引き継いだ。「三曲を知らない人にも積極的にアピールできれば」と意気込む。

 ○…8歳で箏、高校生で三絃を始めた。東京芸術大学の在学中は人間国宝の故中能島欣一氏に師事。両楽器の奏者として演奏活動や自宅教室での指導を長年続ける。三曲協会では尺八奏者の夫と演奏することもあり「厳しく言い合っています」と笑う。小学校の訪問演奏の場では「子どもたちも喜んでくれて」と笑顔を見せるが、あるとき、「一生に一度しか聴けない音楽をありがとう」との児童の言葉に衝撃を受けた。「それだけ聴く機会がない。そう思わせてしまうのは良くないと。せっかくの日本の音楽。もっと地域で紹介し、身近な存在にできれば」

 ○…多くの演奏経験の中で50歳頃、恩師と初めて二人で演奏した舞台は今も忘れない。幕が降りると「よくやったね」と恩師からの言葉。「それまで褒められたことは一度もなく、練習の厳しさに涙が出ることも。だから嬉しかった」。終わりない厳しい世界だが、子育てを経ても続けてきたのは「一番これが私だって思えるもの」だから。「生演奏は奏者と聴き手が心一つに時間と空間を共有する幸せな瞬間。時間の芸術ですね」

 ○…箏と出合って60年。「両親や師匠に恵まれて今がある。この環境に感謝し、今度は地域にお返ししたい」と、柔らかくも凛と語る。奏者の技術と感情で多彩な音色が出せる箏と三絃に魅了され、今なお練習をやめることはない。「まだ可能性がある。もうちょっと頑張ってみます」

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