青葉区版 掲載号:2020年3月12日号 エリアトップへ

ギャラリーコンティーナで50年前の写真映像を公開する 高橋 嬉文(よしふみ)さん 美しが丘在勤 81歳

掲載号:2020年3月12日号

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日常に「癒し」願って

 ○…50年前、武蔵野の日常だった雑木林や麦畑、随所に流れる用水や細流で野菜を洗う女性たち。かつて自然と共に生活していた人々の風景を訪ね歩いて撮り溜めた記録写真をDVDにまとめた。その作品を自身が営むギャラリーで初上映する。「昔は優しい自然風景が暮らしの中にあり、癒しがあった。私蔵したまま記録が失われてしまうより、皆さんに見てもらい心の癒しになれば」

 ○…相模原市の農家に生まれ、山や川で裸足で遊んで育った。自然への愛着は当たり前。エンジニアとして就職したが当時は高度経済成長真っただ中。宅地開発や木々の伐採、日々自然が失われていく姿を目にし、危機感が募った。「自然とともにゆかしい心まで失われてしまうのでは」。国木田独歩の『武蔵野』にも影響され、変わりゆく風景の撮影を開始し、写真や人々との記録を残そうと自費出版を決意。資金作りのため23歳で捕鯨船に乗り込み5年後に出版を実現させた。「あの頃は若かったからね」と照れながら静かに語る。

 ○…その後再び会社員を続け独立し、絵画好きが高じて「普通の暮らしの人が気軽に楽しめる画廊を作りたい」と54歳でギャラリーを稲城市に開設。昨年に美しが丘へ移転した。バルト三国やモンゴルで「良い絵」や「夢に溢れた絵」を目利きし、買い付ける。

 ○…小1で終戦を迎えたが、同級生の父親の多くは戦争で帰ってこなかった。当時の経験を持つ世代だからこそ「かつての時代のようにしてはいけない」と強く感じる。宗教や民族間の対立など混沌とした現代だが「違いを超えて分かり合えるのが芸術。生活に癒しが少ない時代だが、芸術は五感で心満たせる、本来日常と切り離せないもの」。人々の日常に癒しを願い、平和を願う。

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