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公開日:2026.09.03

大場町在住新村恭さん 広辞苑編者・祖父の足跡辿る 京都で生誕150周年展

  • 著書を持つ恭さん

    著書を持つ恭さん

 国語辞典『広辞苑』(岩波書店)の編者・新村出(いづる)の生誕150年を記念した特別展が9月18日(金)から京都の旧宅で開催される。大場町在住で孫の新村恭さん(79)は、貴重な編纂資料や書簡などを公開する準備に携わり、知の巨人の足跡を後世へつないでいる。

 『広辞苑』の編纂において、新村さんは祖父から改訂の仕事を継いでいた父、そして兄とともに3人で第2版の作業に関わった。歴史性と規範を特に重視する編纂作業を支えたのは「スロー バット ステディ(ゆっくり、でも着実に)」という家訓だった。「家族みんなの穏やかな性格も、地道な辞書作りに向いていたと思う」と懐かしむ。

 今回の記念展の準備を通じて改めて祖父の広い見識に圧倒されるとともに、偉ぶらず年下にも丁寧に接して後進を育てた人柄の温かさに深く感銘を受けたという。

 また、2017年には家族史『広辞苑はなぜ生まれたか―新村出の生きた軌跡』を刊行。本来は兄が作るのが適任と考えていたが亡くなってしまったため、「誰かが歴史や関わった人の生きた証を残さなければ」と自ら執筆を決意した。今後は祖父だけでなく、父の歴史も書き残したいと考えている。

歴史をつなぐ

 新村さんは1947年、京都市にあった祖父の家で誕生した。3歳から名古屋で育ち、研究者の家庭環境もあって東京都立大学で中国近代史を専攻。大学院生の時に(株)岩波書店で『岩波講座 世界歴史』の索引作りのアルバイトをした縁から、家族には知らせずに同社に入社した。

 会社でも得意分野は歴史で、初仕事では田中正造の全詩集を担当。運動家である田中の文書を集めるために埼玉や栃木などゆかりの地を走り回り、天皇への直訴状などの貴重な資料に触れたことが強く印象に残っているという。また、職場結婚も経験した。

 30代で長男が生まれたのを機に青葉区(当時は緑区)へ移り住み、「当時はあざみ野などもまだ開発が進んでおらず、店も人も少なかった」と当時の地域の様子を語る。自身も辞書編纂に携わった人生を振り返って、「自分も色々な資料を読み、記録し、考えることが苦にならないのは、祖父の特性を継いだのかもしれません」と話した。

「ぜひお立ち寄りを」

 「新村出生誕150周年記念展」は、京都市北区の重山文庫で9月18日(金)から10月18日(日)までの金・土・日曜日に開催される(大人1000円・小学生500円)。

 新村さんは「開催期間は限られていますが、観光などで京都へ行く機会があればぜひお立ち寄りください」と呼びかけている。

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