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公開日:2026.07.30
大倉山在住畠田心珠さん 毎日書道展で会員賞 無心でつかんだ栄冠
東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で7月19日、書の最高峰とされる「第77回毎日書道展」(毎日新聞社、毎日書道会主催)の表彰式が開催された。全国から2万5563点もの作品が集まる日本最大級の公募展で、グランプリにあたる「会員賞」を受賞したのが、大倉山在住の書家・畠田心珠(本名・吉川優衣、39歳)さんだ。
紡いだ「山桜」
畠田さんが受賞を果たしたのは、現代人が読める言葉や詩歌を書にする「近代詩文書部門」。選んだ言葉は、明治期の俳人・藤野古白の「重ければ財布棄つべし山桜」という句だ。「歩く重荷になるならいっそ財布を捨てても構わないと思えるほど、山桜の美しさに心奪われる」という意のこの一句。著作権の切れた作品が集まる「青空文庫」から、自身の心に響き、文字数のバランスが良い言葉を自ら探し出したという。
「あえて計算をせず、無心で体から湧き出るリズムを大切に書いた」と振り返る畠田さん。自身が好む「横書き」のスタイルに絞り、墨の濃淡や紙との相性、道具のコンディションが噛み合うまで、何枚も何枚も繰り返し筆を走らせた。並行して書いた数枚の候補から、最後は長年師事する師匠と共にこの一枚を選び抜き、今回の結果へとつなげた。
会社員、中国留学を経て
山口県出身の畠田さんは、小学3年生の時に近所の書道教室に通い始めたのが書との出合いだった。高校でも書道部に所属し、上京後も筆を握り続けていたが、大学卒業後は一度会社員として就職する。しかし、「家に帰って書道をする時間が何よりの楽しみ」という思いが抑えきれず、退職。その後、書のルーツを探るため中国へ留学するという、新たな一歩を踏み出した。
帰国後は、青葉台で書道教室を開く傍ら、現在は都内の私立小学校で非常勤講師として子どもたちに書を教えている。さらに、東京大学の教育心理学・博士課程にも在籍し、日々「書道教育」についての研究を重ねる現役の院生でもある。
失敗を恐れず楽しむ書を
「日本の伝統的な書道教育は、どこか『汚してはいけない』『失敗してはいけない』と子どもたちを緊張させてしまう。でも、本来の書はもっと楽しくて自由なもの」と、学校教育での気づきが大学院へ進むきっかけだったと振り返る。「自分が作品を書く時も、失敗しちゃいけないなんて思っていません。楽しいと思って書かないと良い作品は生まれない」
自身のプライドを捨てさせ、ありのままの自分と向き合わせてくれた「書」の魅力。「これまで直感的・感覚的に向き合ってきた書の世界を、今後は論文という言葉の力を借りて論理的に証明し、発信していきたい」と目を輝かせた。
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