家庭文庫「すぎのもりぶんこ」の代表を務める 吉野 智子さん 大棚町在住 51歳
絵本と人との橋渡し
○…個人の自宅を解放して、近所の子どもに本の貸し出しや、読み聞かせを行う家庭文庫。「子育ての助けになりたい」と9年前にすぎのもりぶんこをオープンさせてから、毎週、自宅の一室を開放してきた。ずらりと並ぶ2000冊以上の絵本はジャンルを問わず。「読んでほしいと思うとどうしても揃えたくなってしまう。優しい言葉と絵には大人も子どもも学ぶことがたくさんある」。絵本の力を信じ子育て支援に励む。
○…縫製の仕事をしていた両親の影響で手芸や手仕事が好きだった幼少期。小学5年生の時に、主人公の少女が夏休みに親元を離れ旅に出る「霧のむこうのふしぎな町」の主人公に憧れを持ち、読書の魅力に気づくも「好きなだけ買ってもらえるわけではないから、本屋で表紙を眺めてた」と苦笑い。高校生になり都内の絵本専門店でアルバイトを始めると、風景が色鮮やかに描かれた絵本に出会い、魅了された。
○…証券会社に就職し、8年間事務員として勤めて寿退社。2人の息子の子育て中、長男が幼稚園での集団行動に馴染めず悩む日々を救ったのが近所にあった家庭文庫だった。児童文学作家が開放していた自宅の読み聞かせに通うと「子どもの情緒が安定していった」と息子の変化に絵本の影響力を体感。「子どもに本と触れ合ってほしい」と息子が進学した小学校で読み聞かせのボランティアなどの活動を始めた。
○…読書アドバイザー資格の取得や子どもに披露するわらべ歌やパネルシアターの練習に加え、8年前からは書店員として働くなど、本に囲まれながら多忙な日々を送る。「発信する側として勉強し続けたい。なによりも、楽しいからやっている」とにっこり。「絵本でほっとする時間を」。そのための努力は惜しまない。
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