めくるめく和歌の世界をひと皿に――。緑園にキャンパスがあるフェリス女学院大学の学生が「百人一首」を題材にした給食メニューを考案。11月25日と30日に、緑園東小学校で提供された。
メニューを考案したのは同大学文学部の谷知子教授による「プロジェクト演習」を履修している2年生の学生ら。同演習は実社会で求められる課題解決力を実践的に学ぶ科目で、過去にも同じく百人一首をモチーフに、中区の和菓子店「香炉庵」の最中や、シンガポールの会社の紅茶のパッケージデザインを学生が手掛けた。
競技かるたを題材にしたマンガのヒットなどもあることから、今年度は小学生をキーワードに、キャンパスに近い緑園東小と北方小(中区)の協力のもと百人一首をモチーフにした給食づくりに挑んだ。
実施期間は4月から7月末までの4カ月間。コロナの影響でキャンパスも封鎖され、15回の講義は全てウェブによる遠隔授業で実施された。履修学生14人が3〜4人ずつのグループに分かれ、メニューを考案。作成したプレゼン資料の中から小学校側が実際に採用する献立を選定した。
チーズグラタンやガトーショコラなど洋食も多くプレゼンされた中で、採用されたメニューはもみじ麩を使ったすまし汁やたまごの汁物、竜田揚げ。緑園東小では25日にたまごの汁物、30日に魚の竜田揚げが給食として出された。
ワカメで夜空たまごで月
文学部2年の野崎裕永さんのグループからは、たまごの汁物が採用された。秋の夜の月の美しさを詠んだ「秋風にたなびく雲の絶え間よりもれ出づる月の影のさやけさ」をモチーフに、ワカメで夜空、卵で雲間から見える月を表現している。
野崎さんらはメニュー考案にあたり、小学校で実際に出されている給食を調査。どの学校でもたまごスープが献立にあることに気付き「定番のスープをアレンジすれば採用される可能性が高い」とプレゼン案に組み込んだ。献立を先に決めたうえで、それに合う歌として「秋風に―」の一首をモチーフに選んだ。
”マーケティング”で採用を勝ち取った野崎さんは「定番の献立に新しく百人一首のイメージを持ってもらうことで、断片的な記憶として百人一首のことを今後も気に留めてもらうきっかけになれば」と話した。
提供にあたっては、学生らが児童に向けて題材にした歌を説明するポスターや動画メッセージも作成し、事前に紹介された。実際の献立を作成した緑園東小栄養教諭の田中翔子さんは「授業で勉強している事柄を食べることで学ぶのは児童にとっても良い経験。大学生が考えた思いをくみ取ってほしいですね」と話した。
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