「人間形成の根」に寄り添う

　○…泉区内の13園が加盟する横浜市幼稚園協会泉支部で今年度から支部長として舵を取る。「仲が良く、研究や教育に熱心な人が多い」。月１回の定例会で課題について話し合ったり、市へ働きかけたりすることも。今年度は市幼稚園協会や県私立幼稚園連合会の要職に就いているメンバーが複数いるため、「互いに支え合っていこうという雰囲気」と笑顔で話す。

　○…高校入学前の春休み、母が営む幼稚園を手伝った際に集会で園児にノートを渡す場面があった。一人ずつ前に出てきて受け取るが、足の不自由な子が一番後ろの席にいた。順番が来て前に行こうとしているのに、誰も手を貸す様子がない。「優しさがない」と感じて母に伝えると「その子のペースを周りも認めているということ」と教えられた。幼児教育の奥深さに感銘し、以降その道を志してきた。

　○…幼稚園教諭として複数の園で勤務した後、２０１８年から母が創立した宮の台幼稚園の園長に。認定こども園のため、長い子だと５年間成長を見守る。「幼児期は人間形成の根っこの部分。大人が決めつけず、その子の個性を伸ばしたい」。同窓会で卒園生と再会するのも楽しみ。在園時、サッカーをするといつもプレーはせずにゴール裏で実況解説をしている子がいた。「あの子は今どうしているのかな…」。一人ひとりとの思い出が頭に浮かぶ。

　○…若い頃はロックを好んでいたが、園に音楽家を呼んで演奏会を催すうちにクラシック好きに。「コロナ禍で音楽の力を感じた。弦楽器の音に心が洗われる」と、忙しい合間を縫って演奏会にも出かける。子どもたちにも「バーチャルではなく、リアルな世界で五感をフルに使って成長してほしい」。目を細め、温かく見守っていく。