「誠」の心で道開く

　○…横浜市民約３７７万人の健康と福祉を守る横浜市医師会。会長として４１００人を超える会員をけん引し、医療政策を市と一体となって推進する。「時代とともに疾病の構造も変化し、医師だけでは完結できないことも増えている。地域で連携を深め『面』で対応する医療のリーダー的役割を果たしていきたい」

　○…東京都大田区出身。父の仕事の影響で各地を転々とし、高１で横浜へ。在学中に「社会の役に立つ仕事を」と医師を志すようになった。横浜市大の医学部へ進学した後、24歳で国立病院医療センター（当時）で麻酔科の研修医として医師の道を歩み出した。87年に栄区元大橋で「若竹クリニック」を開院。以来45年以上医療に携わる。開院と同時に加入した医師会では、栄区会長や市副会長を歴任してきた。

　○…開業医として地域に根ざしまちとともに歩むこと30年以上。時代の変化に合わせて始めた訪問診療や夜間診療、乳幼児健診・予防接種に医師会業務と多忙な日々を送るも「自分のために働いている感覚。人の役に立つなら」と笑顔。「この仕事が非才な僕に役割と環境を与えてくれた。本当にありがたい」。栄区への思い入れはとりわけ強く「体が動く限り医師としての仕事をこの地で全うする。ここで朽ち果てたい、という感じ」。柔和な表情の奥に熱い意志の炎が燃えたぎる。

　○…座右の銘は「一誠、万難を排す」。何事にも「真心を持って全力を尽くせば道は開ける」との志で臨む。会の長年の要望であった小児医療費助成制度の所得制限等撤廃も８月から実現。今後は「市行政との連携はもちろん、医療のＤＸ化推進や医師の働き方改革も重要な課題。各方面と協力して進めたい」。未来を見据え、曇りなき真心で道を開いていく。