悩む姿の近い場所で

　○…犯罪や非行をした人たちが再び罪を犯すことのないよう、立ち直りの支援や犯罪予防のための啓発にボランティアで取り組む「保護司」。泉区内の保護司をとりまとめる泉保護司会の会長を今年から担う。「立ち直ろうとしている人のお手伝いが役割。うまくいくことばかりではないけれど」。経験を生かした地域貢献をと、力を尽くしている。

　○…埼玉県秩父市出身。高校の恩師の影響もあって立正大学で地理を学んだ。卒業後は営業職を経て中学校の社会科教諭に。泉区では中和田中に勤めたほか、岡津中では副校長も務めた。「当時は元気な生徒も多く、地域にご迷惑をおかけしたことも」と振り返る。生徒指導の専任教諭を担っていたこともあり、子どもたちと向き合い続けてきた。

　○…当時は全国的に校内暴力や薬物事件も多かった。「悩んでいる姿に、なんとか手を差し伸べられたら」との思いで、呼び出されれば夜中でも駆けつけた。力による指導も全盛の時代だったが、「傾聴、理解が理想。コミュニケーションが大事」と方法を模索し続けた。卒業後、同窓会での再会や結婚式に呼ばれるなどして成長した姿にふれると「あの頃のかかわりも、ちょっとはよかったのかな」と自然と笑みがこぼれる。

　○…保護司の主な活動は保護観察になった人への助言や指導。その活動は個別に行うため、「会としての活動はなかなか難しい。だからこそ、そういったことにも取り組んでいけたら」と課題を口にする。地理好きもあって趣味は旅行で、これまでに50カ国以上を旅して世界を見てきた。「聞いてやろう、見てやろうで、実際に各地の生活を見るのが好き」。多様な生き方を知り、多様な価値観に寄り添う。