｢娘を喜ばせたい｣その先に

　○…神奈川県が主催する特殊詐欺被害防止絵本コンクールでこのほど、数ある作品の中から２位となる優秀作品賞を受賞した。最優秀作品は来年度の小学校新入生に本が配布されるとあって、「ちょうど娘が来春入学だったので、そこでお母さんの絵本が配られたら面白いかなって」。最優秀には届かなかったものの、自身初の絵本制作は大きく評価された。

　○…今回の作品の構想はわずか１日。パソコンとタブレットを使って仕上げたのも１週間ほどだったという。受賞作品は「みやぶりメガネ」。なんでも見破れる魔法のメガネをおもちゃ箱で見つけた女の子が、そのメガネで詐欺師からおばあちゃんを助けるストーリーだ。「絵本にしてはテーマが難しいので、なるべく楽しさを盛り込めるように」

　○…生まれ育ちも泉区。希望ケ丘高校、フェリス女学院大学の出身で「本当にずっとこの辺りの地域で過ごしてきた」と笑って振り返る。10年ほど前から再び実家の隣で暮らすようになり、主婦として子育てに専念してきた。娘の成長にあわせて自身の仕事を考える中でたどりついたのが、在宅でできる「イラストレーター」。昨年から通信講座で技術を磨き、この９月に修了。「少しずつ実績を重ねて、いずれは絵本作家のようなこともできたら」

　○…絵を描くのは子どもの頃から好きだった。「四コマ漫画の『コボちゃん』が好きで、新聞を切り抜いてたりしてました」。それきり、絵からは離れていたが、娘の光さんが生まれてから一緒にお絵描きを楽しんだり、再びその魅力を感じている。「まずは娘が喜んでくれるかな、というのが出発点」。イラストを、絵を通じて、子どもたちの心を弾ませる道のりは始まったばかり。