活動できる環境に感謝

　○…「まさか私がもらえるなんて驚いたよ」。上飯田団地で長年にわたって芝刈りや消毒を行い、芝刈り機の整備、修理などを担当するとともに清掃活動にも積極的に参加。その姿に地域住民が自主的に参加を促されたことなどが認められた。同団地には約１４００世帯１７５０人が住み、65歳以上は65％を超える。「清掃など年々参加者が減ってきている。出来る人がやらないと」

　○…山梨県出身。いたずらしたり、成っている柿を盗んだりと「悪ガキだったな」と笑う。中学を卒業して鎌倉に住む姉を頼りに運送業に就職。配達先で知り合った妻と一緒に28歳のときに上飯田団地へ。「当時は子どもたちもいっぱいいて活気のある団地だったよ」

　○…地域活動を始めたのは近所の子どもたちと始めた防火活動から。「学校行かない、就職しないといった悪ガキが多くいてね。暇そうにしてたから何かしよう」と考え、「火の用心」を言いながら地域を巡った。参加者は多い時には20人ほどになり、声掛けした後は妻が大きな鍋で作ったラーメンをみんなで頬張ったという。「子どもたちは家庭や学校での不満や彼女のことなどいろいろ話してくれて、一緒に涙を流したこともあったよ」。参加者は入れ替わったが活動は20年ほど続いた。

　○…77歳まで地元の建設業社で働いた。「退職したら時間ができると思ったけど、より忙しくなった」と笑う。地域活動は「人のためというより自分のため。活動することで健康でいられるから、ありがたいよ」という。「人生は不思議なもので」と笑みを浮かべながら、「実はね、77歳まで働いていた会社の社長は一緒に防火活動をした悪ガキの一人なの。人の縁って何があるかわからないよね」。