9月24日に戸塚公会堂で開催される「戸塚らくご祭り」に出演する二ツ目落語家 立川 談奈さん 上倉田町出身 39歳
1秒も冷めなかった熱
○…関内ホールはその日、大勢の客で埋め尽くされた。舞台にはたった一人の男。その男の発する言葉と身振りに、会場は魅了された。天井を突き抜けんばかりの笑い声。観客の一人だった18歳の青年は、ただただ、感銘を受けた。ぼんやりと芸人になりたいと思っていたが、確固たる信念に変わった。「落語家になりたい」。舞台の中心には、立川談志がいた。
○…らくご祭りの出演が控える一方、桂文字助と芸人のダイノジをゲストに迎える独演会(16日)の準備に追われる。独演会は企画、小屋押さえ、ゲスト・裏方の手配に客集めと、全てを一人で行わなければならない。立川流は落語協会に所属していないため、年を通じて興行している定席がない。芸を披露する場所を見つけるところからが修行だ。都内を中心に各地で独演会を開く中、来年には横浜での開催を目論んでいる。「やりたい、というか無理やりでも実現させる」。屈しない心意気がにじむ。
○…東戸塚小、豊田中を経て、豊田高(現横浜桜陽高)を中退。落語家になりたいと思ったものの、そう簡単にはいかなかった。立川左談次に弟子入りを頼み込むも、弟子を取らない方針の左談次からは断られ続けた。足繁く東京へ通い、出待ちをする日々。自分の姿を見つけ、左談次に逃げられたこともある。「それでも、落語家への熱は1秒たりとも冷めなかった」。左談次の提案で快楽亭ブラックの弟子になれたのは、志願して6年後だった。
○…浅草に住む。落語家のにおいをつけたくて、入門してから戸塚区へは帰らなかったが、最近、帰る動機ができた。らくご祭りのほか、10月には東戸塚小の創立60周年記念として児童に芸を見せる。以前は地域で落語を見られる機会がなかったため、単純にうれしそうだ。学校の通信簿に先生から必ず書かれていたのは、「落ち着きがない子」。そんな子どもたちが、噺(はなし)に夢中になる場面が浮かぶ。
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4月18日