先月行われた全日本スカッシュ選手権大会マスターズ男子over60で優勝した 坂本 聖二さん 名瀬町在住 72歳
「神様」の異名、永久不滅
○…四方を壁で囲まれたコートに対戦相手と横並びに立ち、ラケットで小さなボールを交互に打ち合う「スカッシュ」。球を確実に拾い上げる動体視力と高い持久力が求められるスポーツだ。46年前に初開催された(公社)日本スカッシュ協会主催の大会では初代チャンピオンを飾り、9連覇という偉業を成し遂げた。そして今大会、60歳以上の部で優勝。「靭帯損傷のまま挑んだが“負けられない”一心で勝った」。王者のプライドが感じられる。
○…もともとは国体準優勝経験をもつ、日本屈指のバトミントン選手。膝のけがで療養していた23歳の頃、転機が訪れる。「偶然外国のスカッシュ選手が来日していて、リハビリがてら対戦したらボロ負けした」。初めて味わった悔しさに身を震わせ、同時に、容易に相手を崩せない奥深さに魅了された。「これを極めよう」。転向し「血反吐を吐くような」トレーニングを重ね、強靭な肉体と精神を築いた。努力が実り、瞬く間に“日本一”へ。最盛期は世界のべ130カ国を遠征し、無数のタイトルを獲得。「スカッシュの神様」の異名をものにした。
○…一流選手のもうひとつの顔は「営業のプロ」。会社員時代はトヨタ自動車のディーラーとして活躍した。「仕事でもトップでいたい」と、販売台数を伸ばすために試行錯誤。遠征中は顧客に手紙をしたため、試合の状況を伝えたことも。こうしたマメな性格も相まって、「退職まで2345台も売り上げたよ」と誇らしげ。
○…スカッシュのさらなる普及と後進の育成に注力する日々。一方で最近、膝を人工関節に変える手術を行った。「まだ痛みは残っているけどへっちゃら」と、今も過酷な練習をこなし、体力は衰えるばかりか増していく一方だ。「生涯現役でいたいから」。そう言い、「神」は今日もコートに向かう。
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