生まれつき両太ももと右腕の二の腕から先がない三肢欠損の障害がある小石昌矢さん(平戸町在住・15)は、2020年に開催される「東京パラリンピック」の水泳育成A指定選手(※)に認定され、現在、大会出場をめざして研さんを積んでいる。小石さんの挑戦は熱を帯びてきている。
左腕で水を掻き、多くの大会で功績を残してきた小石さん。水泳を始めたのは4歳の頃。父・純一さんの「立つことができなくても何かスポーツをやらせてあげたい」という思いから、障害者向けスポーツセンターのプールに通い始めたのがきっかけだ。「最初は練習がつらいと思ったこともあった」と振り返るが、高みをめざして練習に励むうちに泳ぐのが楽しくなっていったという。
徐々に力をつけ、小学6年生の頃から国内最高峰の「ジャパンパラ水泳競技大会」にこれまで4回出場。全国の強豪選手と対戦し、2015年大会では100m平泳ぎで金、50mバタフライで銅メダルを獲得したことから、翌年に戸塚区民栄誉賞に選ばれている。現在は市立横浜総合高校(南区)に通い、勉学と水泳の両立に勤しんでいる。
「5秒の壁」に挑む
2年前に東京パラリンピックの育成指定選手に選出されて以降、大会出場への切符をつかむため、得意種目である「50m自由形(クロール)」の強化に注力している。小石さんが持つ記録は45・76秒。パラ五輪への登竜門とされる強化指定選手にランクアップするには44秒、大会へ出場するには40秒という目標タイムが設定されており、「まず1秒を縮めて強化指定選手に。そしてめざすのは“5秒の壁”の突破。頑張ります」と語気を強める。
この課題に挑むため、学校の休日は必ず1時間半以上を練習に充てる小石さん。憧れのパラスイマー・鈴木孝幸選手の泳法を参考に、手を掻くスピードを上げてタイムの短縮につなげようと日々奮闘中だ。また、体力を相当消耗するため、普段からマットで腕や上半身の筋肉を鍛えるトレーニングを行うなど、基礎体力づくりにも熱を注ぐ。
これまで小石さんの成長を間近で見てきた純一さんは「泳ぎのフォームはほかの選手と並べても群を抜いて奇麗。だが、今求められているのは速さなので、より自分に合った形を見つけて記録を更新していけたら。自信を持って挑んでほしい」とエールを送る。小石さんは「パラリンピックは海外の選手と戦える絶好のチャンス。必ず出場し、金メダルをねらいたい。また、自分の活動を機に、地域の方に障害者スポーツの魅力を知ってもらえたら」と展望を語った。
※育成指定選手…パラリンピックをめざす若い世代を対象に、ユース大会や強化合宿への参加を通じて日本代表選手としての成長を図る。S・A・Bの3段階があり、成績によってクラスが変わる。
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