初の著書「リンケージ外交戦術」で第23回日本自費出版文化賞特別賞を受賞した 中村 公也(きみや)さん 深谷町在住 64歳
アラブ人との架け橋に
○…日本の石油会社で35年勤め、中東にある油田の利権協定を更新するため奔走。その経験をノンフィクションでまとめ2月に出版。新聞で見かけた自費出版文化賞に応募すると、初の著作にして特別賞に。「入選候補に選ばれ、さらに受賞で2度驚いた。日本人にあまり馴染みのない仕事。自分なりに書き上げることができ、認めていただいた」と笑顔を見せる。
○…進学を機に石川県金沢市から上京。「海外で仕事がしたい」との思いで入った会社で取引先だった石油会社のダイナミックな世界に魅了され、アラブ首長国連邦とカタールの国境線上にある油田の操業権をもつ企業に転職。アブダビに赴任し、2つの国営石油会社と契約更新を進める中、2017年、利権失効まで1年を切るタイミングで両国が国交断絶。両国から指名を受け一人交渉人として緊迫した仕事に就く。東京大阪間ほどの距離を中立国経由で1日がかりで行き来するなど、苦労を重ねたが「相手国の言っていることを正確に誠実に伝えること」を信念に失効日当日、更新にこぎつけた。
○…1990年、妻と8歳の娘と旅行先のスイスで、湾岸戦争の発端となるイラクのクウェート侵攻をニュースで目の当たりに。以降、単身赴任で刻々と変わる社会情勢の中で日本とアブダビを行き来した。本出版は、稀有な仕事を見てきた妻の勧めから。「悩み迷いながらだったが、妻が背中を押してくれました」
○…アブダビの気候は過酷で、50度近い日が続くことも。ゴルフで熱中症になり入院することになった時、アラブ人の同僚が退院するまでずっと付き添ってくれた。「アラブの人たちは優しくて一緒にいて居心地のいい人たち。この本でイスラムの文化を理解してもらえるきっかけになれば」
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4月18日